答弁書(令和元年7月11日)(実効確保勧告関係)

平成31年(不)第20号プレカリアートユニオン事件
申立人            DMU民主一般労働組合
被申立人           プレカリアートユニオン

答 弁 書

令和元年7月11日

東京都労働委員会 御 中

DMU 民 主 一 般 労 働 組 合
代表者書記長 前 田 史 門

申立の趣旨に対する答弁及び本案前の答弁

被申立人の申立趣旨のうち,
前田史門に対する申立を却下する。
申立人に対する申立を棄却する。
との御命令を求める。

前田史門に対する申立が不適法であること

労働委員会規則第40条によれば,いわゆる実効確保措置勧告は,本案の当事者に対して申し立てることができる。

本案の申立人は,法人格なき労働組合(権利能力なき社団)であるDMU民主一般労働組合であるところ,被申立人は,DMUとは別個の主体として,その代表者である前田史門に対する勧告を申し立てるという。

しかし,前田は,個人としては本案の当事者ではない。

よって,前田に対する申立は不適法であり,無効なものとして速やかに却下されるべきである。

申立人の主張

はじめに

被申立人は,「被申立人代表者を含む所属の組合員を名指しした書き込み」や「被申立人の会計帳簿の公開」をしてはならない旨の勧告を求めている。

これらは,行政権をして将来に向かって名宛人らの表現行為を制約する旨の勧告をさせるものとして,憲法が保障する表現又は言論の自由に直接抵触する。

そのような勧告が認められるためには,表現の自由との比較衡量において,過去に一度でも申立人に違法な表現が存在したことを説明するだけでは到底不十分であり,また,勧告の要件である審査の実効を確保するための必要性も抽象的なものでは足りず,具体的かつ急迫した実効上の危険が存在することが疎明されなければならない。

被申立人の指摘する事実関係を前提としても本案審査に無関係であること

被申立人の主張は,その主要部分で疎明資料すら添付されておらず事実無根であるが,仮に被申立人が主張する事実関係が認められるとしても,それらは,審査の実効に何ら関係するものではないから,主張それ自体から本申立は棄却されるしかない。

すなわち,被申立人は「被申立人側の本審査手続に対する出頭・証言などに強い萎縮効果を生じさせる」と主張するが,労働委員会の審問に出頭して証言をすれば,その様子は公開の審問廷で開催され,誰でも傍聴することができる。審問の傍聴者も,後日の表現行為において,その内容を自由に言及,引用しうるのである。

つまり,申立人が佐藤氏や吉田氏を批判し,その社会的評価を低下させたとしても,両氏の審問は,申立人の表現行為の有無に関係なく公開の審問廷で開催されるのであるから,申立人の表現行為が両氏の出頭・証言を萎縮させる理由はないし,被申立人もその機序を具体的に説明しない。

このように,被申立人が指摘する萎縮効果が存在しない以上,申立人の表現行為が審査の円滑や進行を阻害することはあり得ない。

被申立人が指摘する「被申立人の中心メンバー」が労組法上の使用者として申立人の表現行為に受忍義務を負うこと

労組法上の使用者とは,雇用する労働者の基本的な労働条件等について,現実的・具体的に支配決定できる地位にある者をいう。

ところで,被申立人が「被申立人の中心メンバー」と位置づけて申立人による「被害」を縷々主張する佐藤智秋氏と吉田直希氏は,いずれも被申立人の執行委員であり,被申立人の規約(乙1)上,役員として業務執行権を有する。

また,社会通念上,業務執行権を有する役員は,会社の常任取締役がこれに相当する。

そして,前田の採用,昇給,事実上の懲戒解雇にあたる3月18日の統制処分は,いずれも執行委員会において決定されており,佐藤氏と吉田氏も,議決権を有する者として実際に出席していたのであるから,申立人及び前田に対して使用者の地位を有する。

よって,佐藤氏及び吉田氏は,いずれも,申立人との労働争議に関して使用者責任を負担し,本件HPやツイッターの投稿記事を含む申立人の情宣活動について高度の受忍義務を負う。

この受忍義務について,判例(広島高判平元10月23日労判583号49頁)は次のように説示している。

「控訴人らは,本件ビラ配布行為は正当な組合活動であると主張するので,この点について検討するに,労働組合が,組合員の経済的地位の向上をはかる目的で,会社の経営方針や企業活動を批判することはもとより正当な組合活動の範囲内に属するものであり,その文書活動が一般の第三者に理解と支援を得るために行われる場合であっても,それが右の目的の範囲内にある場合には,文書の表現が厳しかったり,多少の誇張が含まれているとしても,なお正当な組合活動といえるのであって,そのために会社が多少の不利益を受けたり,社会的信用が低下することがあっても,会社としてはこれを受忍すべきものである。」

また,役員個人が批判されていたとしても,それだけで違法にはならない。この点,菅野「労働法」第11版932頁は,

「組合がビラにおいて使用者の労務管理のありかたや経営上の措置・政策を批判・攻撃するなかでの表現の行きすぎや事実の誤りについて,企業秩序を乱したり,使用者の名誉・信用や管理職者等の名誉・プライバシーなどを侵害したりしないかが,問題となる。一般的にいえば,組合の情宣活動としてのビラであっても,内容の真実性に心がけ,名誉・信用・営業秘密・プライバシー等の権利・利益を侵害しないように配慮すべきであるが,通例,組合が使用者に対峙する立場から,会社に不利な事実を指摘しての主張・批判・訴えに及ぶものであることに留意する必要がある。したがって,前提として摘示した事実が概ね真実であるか真実と信ずるに相当な理由があり,会社の名誉・信用等を不相当に侵害したり,役員・管理職者等の不相当な個人攻撃や誹謗中傷,私事暴露などに及んだりしない内容での,主張,批判,訴えであるかぎりは,正当性が認められるべきである。」

と説示している。

以上要するに,判例及び通説によれば,労働組合の情宣活動は,その内容が相当の理由なく事実に反し,または誇張,歪曲したものでない限り,使用者はこれを受忍する義務を負う。そして,役員個人が批判されていたとしても,私事暴露など行きすぎた人格攻撃に至らない限り,違法性を裏付ける理由にはならないのである。

情宣活動の差止を内容とする勧告は憲法上許されないこと

憲法は表現の自由及び労働基本権を保障するところ,基本的人権は,性質上可能である限り法人や社団もこれを享有するものと解される。したがって,申立人や前田も,当然にこれらの権利及び利益を享有する。 また,憲法28条が保障する労働基本権は,労働組合法ではなく憲法が保障する権利であるから,その対象が労組法上の使用者に限定されることもあり得ない。

労働基本権としての団体行動権は,争議権と組合活動権を内容とし,「『争議権』は一定範囲での争議行為(労働者の要求の示威または貫徹のための圧力行為)の法的保障を内容とする権利であり,『組合活動権』は争議行為及び団体交渉以外の団結体の行動(典型的にはビラ貼り,ビラ配布,集会,演説などの情宣活動)を一定限度で保障する権利」(菅野「労働法」第11版36頁)と解されている。

一般に,労働力という売り惜しみの効かない財しか持たない労働者は使用者との交渉上劣位に置かれているのであり,憲法及び労働組合法は,それを踏まえてこそ,上記通説のような団体行動権を保障しているのである。

すなわち,団体行動権の核心は要求貫徹のための圧力行為であり,その対象として役員個人が含まれたとしても,原則として許容される。

被申立人が主張する通り,(役員であり,代表者をも含む)「組合員個人」を名指しする表現や,「名誉を毀損」する表現についての差止勧告が認容されてしまえば,畢竟,労働組合は団体交渉と第三者機関による手続を通してしか要求を実現できないという結論に逢着する。

それは,憲法が労働者の交渉劣位を踏まえて特別に保障した団体行動権を労働行政が否定し,劣位者たる労働者が,ただでさえ圧倒的な強者である使用者の不正と暴虐を告発するための唯一の手段さえ取り上げるに等しい。

このように,以下具体的に内容を検討するまでもなく,本申立は法の精神に照らして棄却を免れないのである。

本件HP及び本件ツイッターの投稿者が必ずしも前田ではないこと

本件HPは,dmu.or.jpのドメイン名で運営されているが,係るドメイン名の管理者が前田であったとしても,そのドメイン名以下のすべての文書の投稿者が前田であることを意味しない。

例えば,metro.tokyo.jpのWhoisを参照すると,都職員の原田一紀氏が管理者として表示される(甲21)が,metro.tokyo.jp以下のすべての文書が原田氏によって投稿された事実はない。

本件ツイッターは,申立人役員の誰もがログイン,投稿することがきる。被申立人が指摘するとおり,一部の投稿では「文責:書記長前田」と記載して前田が投稿者であると明示することもあるが,それをもって全部の投稿が前田のものであるとはいえないし,被申立人も投稿行為に関する事実関係を疎明しない。

中野千暁こと太田曉彦氏による投稿記事削除仮処分において裁判所が前田に対し仮の削除を命じたのは,前田が本件HPの管理権を有し,削除を命じればそれを履行できると認めたからに過ぎず,本件HPの投稿者が前田であると認定したわけではない。

佐藤智秋氏に関する投稿記事が真実であること

刑法上,業務上横領罪とは,「業務上自己の占有する他人の物」を「横領」することをいう。

被申立人の金銭が「物」であること,佐藤氏が執行委員として行為することが「業務」であることは論を俟たないが,「横領」とは,不法領得の意思が発露されたと認められる一切の行為をいうところ,判例及び通説では,①権利者を排除して他人の物を自己の所有物として振る舞い,②その経済的用法に従い利用又は処分する意思を指すものと解されている。

ところで,佐藤氏は,本件横領行為<申立書3頁(1)>の時点において,被申立人の役員である執行委員の地位にあるとされており(選任決議の有効性には争いがある),役員は被申立人の規約に基づいて業務執行権を有するところ,一般に,法人とその役員との関係は委任の関係に立つ(社団財団法64条類推)。

すなわち,被申立人のような法人格のある労働組合においては,定期大会の選任決議によって表明された被申立人組合員の総体的な意思によって,被申立人の金銭管理を含む業務執行権が佐藤氏ら役員一同に委任され,かかる委任関係に基づき,被申立人の金銭の占有は執行委員会に移転する。

被申立人執行委員会に属する役員は,法人としての被申立人に対して受任者としての善管注意義務を負うに留まらず,佐藤氏も,被申立人の役員として,委任関係に基づき,他の役員と共同して被申立人の金銭を占有していたのである。

被申立人も認めるとおり,佐藤氏は「行動費」としての4800円(以下「本件金員」)を被申立人から所得したのであるが,本件金員が佐藤氏の所得するところになれば,当該金員の占有は被申立人から失われ,佐藤氏の利用,処分に委ねられるのであるから,その時点で本来の権利者である被申立人が排除され,不法領得が完成する。

そもそも,被申立人が主張する行動費の請求方法は,あくまでも前田のようなアルバイトや,被申立人で役員ではない一般組合員に妥当するものであって,本件横領行為の時点で役員であった佐藤氏には関係がない。

本件金員の決済手段は明らかではないが,被申立人の預金通帳や金庫の鍵の管理について規約(乙1)上の規定がない以上,役員である執行委員会内部の決定で管理されていると考えられるところ,佐藤氏は,執行委員会の議決権を有する役員なのだから,その管理方法を,いつでも具体的に決定できる立場にある。

仮に佐藤氏が一般組合員と同様の請求方法を採っていたとしても,それは申立人に明らかなことではない。申立人は,申立人として把握する①前田が平成30年8月1日,書記局アルバイトとして京浜急行バス事件の団体交渉に出席する佐藤氏を目撃した,②書記局アルバイトとして団体交渉に出席しても行動費は請求できないところ,佐藤氏は,それを当時から知っていたと発言した,③会計帳簿によれば,佐藤氏は①に該当する時間の「行動費」を所得していた,との事実に基づいて,佐藤氏が横領行為(又は詐欺行為)に及んだという確信を抱き,使用者に対する批判の一環として佐藤氏に言及したのである。

申立書によれば,佐藤氏は,本件金員を所得した時点において,佐藤氏が団体交渉に出席した時間について「行動費」が請求できないことを知っていた(申立人との団体交渉でも同旨発言している)。

帳簿上,佐藤氏が本件横領行為に及んだのは平成30年8月1日であるが(甲22の1),同日の京浜急行バス事件の団体交渉は,被申立人事務所を出て東京駅附近に移動し,喫茶店で当該者組合員と合流し打合せ,そこから会議室に移動して2時間にわたって団体交渉に出席するというものであり,行動費が請求できる他の業務と混同を来すような事情はなかった。

いやしくも業務執行権を有する役員として被申立人に対する善管注意義務を負い,「団体交渉の時間は行動費を請求できない」という明白な認識を有していた佐藤氏が,本件金員を「誤って請求」したという主張は客観的な状況と経験則に反し,到底措信できない。

さらに,改めて前田のGPS記録を確認したところ,同日の午後7時5分から午後9時51分まで,佐藤氏は,前田及び京浜急行バス事件当該者である松岡亮氏や大塚雅明氏とともに,団交会場付近の「白木屋八重洲中央口駅前店」で酒食に興じていた(甲23)。

他方,当時の佐藤氏と同じく被申立人のアルバイトであった前田は,同日は16時45分までしか行動費を請求していない(甲24)。

このように,佐藤氏は,「団体交渉の時間は行動費を請求できない」という明白な認識を有し,委任関係に基づく善管注意義務を負う被申立人の役員でありながら,架空の出勤をでっち上げ,団体交渉の時間ばかりか,当該者組合員らと飲酒していた時間まで「行動費」を請求し,本件金員を違法に領得したのである。その故意性も佐藤氏の自白によって明らかである。

もっとも,佐藤氏が本件金員を占有していないことや,一般組合員と同様の請求方法を採用していたことを前提としても,現実には行動費を請求できない団体交渉と「白木屋」での飲酒をしていたところ,それを記載して行動費を請求すれば,税理士有資格者を含むという金銭管理担当者が本件金員を給付するはずがない。

すると,佐藤氏は,本件金員の請求行為において,「団体交渉と飲酒」以外の,何らかの真実と異なる名目において金銭管理担当者に行動費の給付を求め,もって本件金員を交付させたものと推認できる。

この場合,佐藤氏の行為は業務上横領罪ではなく詐欺罪に該当することから,申立人は,念のため,「業務上横領罪,詐欺罪といった犯罪行為にあたる」と指摘したものである。

被申立人は佐藤氏が本件金員を返還したと主張するが,その疎明はなく措信しがたい。もっとも,返還の事実があったとしても,一度盗んだ商品を棚に戻すのと同じことで,犯罪行為の事実や刑事責任を何ら左右するものではない。

このように,佐藤氏が被申立人で本件横領行為をしたという投稿記事は真実であるか,少なくとも真実であると信ずべき相当の理由があったものである。

本件HPは,名誉毀損法理において,組合員の経済的地位向上を目的とする組合活動として公益性及び公共性を有するところ,佐藤氏による本件横領行為に関する投稿記事は,それが業務上横領罪であれ詐欺罪であれ,公訴提起前の犯罪事実の摘示を兼ねている。

よって,本件HPの佐藤氏に関する投稿記事がその社会的評価を低下させるとしても,除外事由を充足するものとして名誉毀損の違法性が阻却される。

吉田直希氏に関する投稿記事が真実であること

吉田氏は,平成29年10月14日,所沢駅から西武新宿駅まで,被申立人の発送作業に参加する目的で西武鉄道線に乗車したところ,その運賃として,被申立人に金740円を2回請求し,いずれも受領した(甲22の2)。

被申立人が指摘する申立人の投稿記事において,所沢駅から西武新宿駅間における運賃の認識に誤りがあり,それによって,吉田氏の請求額が特急レッドアローの近距離特急券を含む額であるとの誤認が生じたことは事実である。被申立人の指摘を受け,申立人は上記誤認に基づく投稿記事を削除した。

ただし,いずれにせよ,吉田氏は同日の交通費を二重に請求したのであるから,申立人が当初指摘していた特急券相当額を被申立人に負担させる手法が真実ではなかったとしても,(短距離交通費については領収書の提出が求められないのを奇貨として)同一の移動について二重に交通費を請求する手法によって被申立人の金銭を着服したものといえる。

よって,申立人の投稿記事は結論において真実である。

被申立人の内部運営が混乱した事実がないこと

被申立人は,申立人が被申立人の会計帳簿の一部をインターネット上で公開すると,被申立人の内部の運営が混乱を極め,本審査手続に対する活動が無意味に停滞すると主張する。

しかし,申立人が公開した会計帳簿は,被申立人役員や職制者の違法行為等を指摘するために最小限の内容として数行程度のものである。さらに,批判対象である使用者職制以外の氏名は都度モザイクを施している。そのような態様で会計帳簿の一部が公開されたとしても,被申立人の運営が当然に混乱するとは到底認められないし,申立書ではその機序すら明らかではない。

そもそも,被申立人では,本件HPで指摘しているとおり,①専従者は週に2.5日程度しか出勤せず「ヤミ休暇」を取得し,②代表者を名乗る関口直子氏は経費をもってアメリカ見学に出かけ,③執行委員会による宴会合宿が西新宿のホテルにおいて開催されるなど,労働組合としての業務に何ら関係がない不適切な活動に時間が空費されており,職制専従者は,固定給を奇貨としてか出勤さえ定かではないのである。

さらに,会計帳簿の一部の公開以降,実際に申立人の運営が混乱している事情は何も説明されていない。被申立人の主張は理由がない。

なお,会計帳簿が非公開であるとか公開が予定されていないとかいうのは被申立人内部の都合に過ぎず,申立人にとっては,使用者による違法行為の事実を裏付ける証拠のひとつであり,それを利用した表現行為について,被申立人から「無断」であると指摘されるいわれはない。

非公開と位置づけていたはずの情報が申立人の手に渡りインターネット上で公開されてしまったことは,あくまでも,被申立人の内部で情報を管理していた関口氏ら被申立人役員が被申立人組合員に対して負担する善管注意義務違反の問題である。

それは,申立人と被申立人の労使関係に基づく本案や,被申立人に対する抗議活動としての申立人の表現行為に何ら関係がなく,申立人の表現行為を左右し又は制約する理由にはなり得ない。

小括

本申立は,憲法が労働組合に保障した団体行動権を否定し,情宣活動が要求貫徹のための圧力行為であるという当然の前提を無に帰するものであり,圧倒的な劣位者である労働者から,その権利と尊厳を実現するための唯一といってよい手段を表現行為の事前差止として没収するものであり,到底許されない。

そもそも,本件HP及び本件ツイッターの投稿者は必ずしも前田ではなく,その内容を一々検討しても,名誉毀損法理において違法性が阻却されるものばかりである。

しかも,それらの投稿記事が,佐藤氏及び吉田氏の,公開の審問廷で開催される本案審問手続への出頭・証言を阻害する機序さえ明らかではない。会計帳簿の公開による被申立人の「混乱」も同様である。

また,令和元年(ヨ)1584号,同1585号事件は中野千暁こと太田曉彦氏及び根本美樹氏を各々当事者とするものであるところ,佐藤氏及び吉田氏に関する投稿記事が論点となっている本申立には何ら関係がない。1584号事件の認容決定が前田の管理権(削除権限)を認定するものに過ぎず,前田が投稿者であると認定する趣旨ではないことは既に述べた。

結局のところ,本申立は,被申立人に早期の救済命令が発出されることを懸念し,もっぱら本案の審査を遅延させることを目的として,あたかも狙い澄ましたかのように期日直前に提出されたものであって,それ自体が審査手続の円滑,迅速な進行を阻害する。

よって,申立人に対する申立は速やかに棄却されるべきである。

申立の理由に対する認否

東京地裁の令和元年(ヨ)1584号,同1585号事件の存在と1584号事件の決定内容は認め,本件HPや本件ツイッターの投稿記事の存在は被申立人から疎明資料が提出されている限りで認める。

その余は否認し,主張は全面的に争う。

前田は,個人としては本案の当事者ではないから,準備書面を提出して認否答弁をすることができない。

結語

上記の通り,本申立は,市民社会の法としての憲法が保障する労働者の権利を全面的に否定するものであるから,これを速やかに却下及び棄却されたい。

以 上

Print Friendly, PDF & Email

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)