プレカリアートユニオン「書記局アルバイト」の労働者性について本気出して考えてみた

「書記局アルバイト」が労働者ではない理由は何か。

3月13日の団交拒否以来、DMUとして、疑問に思ってやまない問題でした。しかし今回、ついに、プレカリアートユニオンから公式見解が表明されました。

といっても、これは立派な名誉毀損なので感心しないのですが……
(註:団交拒否や不当解雇に抗議する目的で、民事刑事の免責を受ける労働組合活動の一環で使用者役員の名前を挙げて情宣活動をしているDMUとは、まったく意味合いが異なります。やられたらやり返して良い「ケンカ」だと思ったら大間違いです。

既に反論は声明しましたが、重要な問題なので、「書記局アルバイト」の労働者性に的を絞り、改めて論じたいと思います。

 

プレカリアートユニオン(清水直子委員長)の見解

当組合では、組合が取り組む争議があった場合、たとえば残業代計算のための入力作業などを、手の空いている組合員に手伝ってもらうことがしばしばありました。

こういった作業は、組合活動として、それぞれの組合員がお互いに助け合いということで行ってきたことで、無償のものでした。

しかし、当組合としては、手伝ってくれている組合員に対して、わずかではありますが行動費を支払っていこうと執行委員会で取り決めをし、それ以降、組合員には行動費を支払ってきました。

この手伝ってくれる組合員を、「書記局アルバイト」と呼んではいましたが、実態は上記のとおりで、雇用ではありませんでした。前田組合員もその手伝いをしてくれていた組合員の一人です。

 

プレカリアートユニオン見解の事実誤認・問題点

「手伝ってもらう」という動機・経緯が、雇用関係の成立を否定するものではないこと

上記見解を見ると、「手伝ってもらった」に過ぎないから、雇用関係ではない、という主張が繰り返し持ち出されます。

しかし、「手伝ってもらう」と主張することは、それ自体として、書記局アルバイトが従事してきた仕事が「労働」であることを裏付けるものです。

たとえば、業務委託契約の発注先のことを、「手伝ってもらう」とは表現しません。特定の業務を発注し、その完成に対してお金を払うのが業務委託契約です。

「お手伝いさん」として、あれこれと不特定の雑務を命じることができるのは、労働(使用者の指揮命令に従って業務に従事すること)だからこそ可能なことです。

●労働契約は、民法上の雇用契約(民法623条)と同一の概念。
請負契約や有償の委任契約と対比した場合の雇用契約の重要な特色として、
①労働それ自体の提供が契約の目的とされ、仕事の完成や統一的な事務処理が契約の目的となるものではないこと、
(それ故に)労働を行う者の労働を経営目的に沿って適宜に配置、按配して一定の目的を達成させることは、使用者の権限(労働指揮権)となり、基本的に、労務を提供する側が労働内容を自主性・独立性・裁量性をもって決定するものではないことが挙げられる。

(引用元:弁護士川村真文氏のブログ)

そもそも、「家業の手伝い」「お店の手伝い」「家事の手伝い」「友人の会社の手伝い」「収穫の手伝い」など、世の中には多くの「手伝い」が存在しますが、どれを取っても、普通、「労働」と見なされるものです。

しかも今回のケースでは、賃金が労働能力に応じて変動し、時給制で支払われており(当初1200円、後に1500円に昇給)、雇用期間も、平成30年5月20日から現在までの1年間弱に及び単発のものではなく、業務内容としても、月給制専従者と同一のものに従事してきたというのです。
(プレカリアートユニオンからは、これらの事実に反する主張はありません)

同じ「手伝い」であっても、書記局アルバイトとして採用された者でなければ無償であったこと

当組合としては、手伝ってくれている組合員に対して、わずかではありますが行動費を支払っていこうと執行委員会で取り決めをし、それ以降、組合員には行動費を支払ってきました。

上記見解では、「組合員」がすべて並列に扱われており、あたかも、「手の空いている組合員」が「残業代計算」などの組合活動を「手伝う」と、等しく「行動費」が支払われるかのように読み取れます。

ところが、実際には、「書記局アルバイト」として採用された者でなければ、「残業代計算」などの「手伝い」を行っても、行動費が支給されることはありませんでした。

 

例えば、タクシー会社Eに勤務する組合員W氏は、手の空いている時間に、何度も残業代計算を手伝っていますが、書記局アルバイトではないため、行動費を受け取ったことはありません。

このように、プレカリアートユニオンでは、組合活動を手伝っている組合員に対して、差別なく行動費を支払っているという事情はそもそも存在せず、現実には、「書記局アルバイト」として特定されて採用された者に対して、その労働能力に応じて行動費を支払っているのです。

そのため、DMU前田の行動費も、当初時給1200円だったものが、10月14日の執行委員会をもって時給1500円に昇給されています。

その他、労働者性を肯定する要件に該当すること

手前どもの反論の声明から引用させていただきます。

団体交渉申入書記載のとおり、DMU前田は、PU関口氏から「バイトしませんか」と勧誘されてPUに入職しており、過去3ヶ月の平均賃金は17万8000円、平均労働時間は120時間にも及びます。

作業の場所も、秘密書類の持ち出しが禁じられていることから、PU事務所内が原則とされており、この事務所内には、「産休・育休取得は義務」「夜8時以降労働禁止」といった貼り紙さえ存在します。

 

賃金についても、所要時間ではなく、労働日と労働時間を申告することで支払われます。さらに、最近採用された書記局アルバイト(例えば、盗聴行為をおこなったデイズジャパン出身の根本美樹氏)については、タイムカードで勤怠管理をしています。

とすれば、その名称から当然に理解されるように、「書記局アルバイト」とPUの関係は雇用の関係に立つものです。

 

なお、労働法上の義務を逃れようとする目的から、PUでは、労働者に対し「業務委託費」扱いの支払調書を交付してくることがあります。

しかし、仮に業務委託者の関係に立つとしても、上記の労働時間や作業場所の指定などの拘束性を考慮すれば、請負労働者として労働組合法上の労働者にあたるのであって(例:ソクハイ事件、結局のところ、DMUの結成とPUへの団体交渉申入は正当な行為であり、PUが何ら合理的な理由を示すことなく、これを拒否することは許されません。(PUは、団交拒否をきっかけに申し立てられたDMUからの不当労働行為審査事件において、3月25日、白紙の答弁書を提出しています。)

 

本件記事を受けての全体的な印象として、清水直子氏は、根本的に、労働契約法上の「労働者」と労働組合法上の「労働者」を区別することができていないのではないかと思います。

 

プレカリアートユニオンにおける「行動費」の定義

なおプレカリアートユニオンにおいて、行動費とは、人件費とほぼ同義の用語として使用されています。

月給制専従者が賃金で時給制書記局アルバイトは行動費ということなら別段、実際には、代表者の役員報酬、月給制専従者の賃金、時給制書記局アルバイトの賃金は全部「行動費」として扱われており(執行委員会議事録参照)

「行動費」という名称は、書記局アルバイトの労働者性を否定する根拠となり得るものではありません。

 

「行動費」について議決されたプレカリアートユニオン執行委員会議事録の一例。 月給制・時給制の間で特段の区別はない。

「行動費」について議決されたプレカリアートユニオン執行委員会議事録の一例。 月給制・時給制の間で特段の区別はない。

 

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3 COMMENTS

匿名

私は、時給1000円で短時間書記アルバイトをしております。労働なのか組合活動なのか聞きますと、組合活動であると回答され、忙しい月は週20時間を越えます。
組合内は、残業代計算や東京都労働委員会申し立て等で人手不足です。とても手伝いという言葉で表現できません。
労働能力によって、賃金格差がありますから雇用関係であると思います。現実は、無償で上記のような手伝いをしてくれる組合員は皆無です。
労働局曰く、組合活動費というならば、一律支給金でないと変ですねと発言されています。

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名倉マミ

書記局アルバイトを「雇用」とは頑として認めないわけやな。
「実態は上記の通りで、雇用ではありませんでした」って、おーい、おばちゃん。自分が何言ってるかわかってるのか。「労働に従事させるため、賃金を払って人を雇うこと」を一般に「雇用」っていわんか。組合員であろうがなかろうが雇用は雇用やろ。で、「行動費」ってのは賃金のことですよね。慣例上、そう呼んでるだけでさ。

なんで認めないんでしょう?「雇用」「労働」と認めたらPUがブラック企業(法やモラルを守らない企業)で、自分はその経営者(使用者)だと認めることになるからか。
でも、どうせ行政や司法や世論(マスコミ)の前に出ればいつもの口先、小手先だけの清水マジックなんて通じるはずがなく、全部書面で明らかになって厳正な審判が下るだけなんですから、早く認めた方が面倒くさくなくていいんじゃないですかねえ。

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名倉マミ

労働組合の「活動家」には三種類いる
プロ:産業別労働組織、ナショナルセンター、ユニオンで専従をしている人
ノンプロ:企業別組合で専従をしている人
アマチュア:仕事をしながら(別に生計の手段を持ちながら)労働組合の活動をしている人

って、「オルグの鬼」二宮誠さんもちゃんと言ってましたよね。
簡単な話です。組合から賃金(行動費)を貰っていればプロ、職業、労働者です。
労働者なら労基法守らないと。非正規差別なくさないと。今までこういう業界では暗黙の了解の下で見過ごされてきたことですが、これからは改善していきましょう。

「組合員は全員『活動家』」という言説自体は誰も否定していません。話の次元が違うでしょってだけです。
「活動家」と「労働者」は二項対立なんかではありません。
「プロ(労働者として)の活動家」と「アマチュアの活動家」がいるというだけです。

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