所長宮城史門ご挨拶・法人概要

想起としての労働——理性と愛に基づく労働運動の再建によせて

プラトンは、すべての知識は想起であると説きました。

「ある」というのは、自分の外に、すでに「ある」ものだからこそ、それが「ある」と知ることで「ある」と言えるのであって、人は、「ない」ものを「ある」ということができないのと同様に、自分自身より前に「ある」ものでなければ、それを「知り」、「語る」こともできない、というのです。

人は、言葉を用いることで知識を想起しますが、私は、労働も、やはり想起のための手段であると考えています。

何を想起するのかといえば、人が誰しも幼い頃に経験する、この世に生を享ける喜び——母親、家族、そして世間からの、「生きていてくれて、ありがとう」というメッセージを想起するのだと思います。

人は誰でも、自分がなぜ、また、何のために存在するのかという疑問の答えを求めざるを得ません。

この点、良心に従って、最大限の努力をもって労働をすれば、心地よい疲労とともに、労働のすべての関係者からの感謝に加え、日用の糧を得ることができます。

世間は実に厳しいもので、歳をとると、幼い頃とはうってかわって、生きているだけでは全く誰も褒めてくれず、かえって税金を取られる有り様です。

そうであるからこそ、人は、働いて世界に正の影響を及ぼすことによって、その存在を世界に認められ愛されようと、必死に努力するのだと私は思います。

ところが、昨今の労働界は、そのような、人間の儚く、切ない実存性の発露であるところの労働を、あたかもゲーム感覚のカネやモノの取り合いであるかのように、時にはブラック社員の不当要求の片棒をかつぎ、「合法的な嫌がらせ」(プレカリアートユニオン清水直子氏談)という街宣車や誹謗中傷を背景に労使関係に不当介入するブラックユニオン・ブラック労弁が幅をきかせています。

他方、企業社会の側に目を向けると、底なし沼の満たされることがない金銭と権力の追求のために人を使い捨てにするブラック企業、そして、その手足としてアイヒマンのごとく労働者を傷つけ、不当解雇や賃金の不払いを指南、支援する一部の経営法曹、社労士、パワハラ上司といった、まさに魑魅魍魎が跋扈しているのです。

学校を出てからの40年強もの間、まるで悪意と無関心の筑前煮のような日本の労働環境に曝されながら、何も物を言わず、ただ泣き寝入りをするとしたら、人は、果たして、理性と愛に基づく生き方、そして、この世に生を享けることの喜びを忘れないことができるでしょうか。

それが困難であるからこそ、私たちは、人として生きるために団結し、支え合い、励まし合っていかなければならないのだと思います。

「すべて高貴なものは稀であるとともに困難である。」

という言葉をご紹介します。

オランダの哲学者スピノザが、主著「エチカ」の締めくくりとして用いた言葉です。

会社あるいは他者とモノを取り合い、権利を主張してトラブルを起こすための組合活動は、容易で、しかもありふれていますが、労使を問わず、生きとし生けるものすべてが、世界からその存在を愛されるために生き、そして働くという重要な前提を見落としている点において、私には、まったく高貴なものには見えません。

そのような従来型の労働組合が労働者の支持を失い、あるいはその指導部がモラルを失い、組織率が低下したり、内紛や裁判が続発して空中分解したり、堕落して「御用組合」に成り下がったりするのは、いわば当然のことだと考えます。

他者と敵対し「勝利」するための労働運動ではなく、理性と愛に根ざした労働運動再建の試みという、稀でかつ困難な険しい丘に、心ある労使及び専門家の皆さまとともに挑戦できることを、何よりも楽しみにしています。


平成8年、高知市生まれ。東京都板橋区育ち。
中学生の頃、高島平図書館で『判例時報』に出会い、にわかに法律の世界を志す。高校時代は「裁判官を目指す」と豪語するも、なぜか、孔子にプラトン 、M.サンデル、そして池田晶子の哲学に惹かれたなどとして一切勉強をせず、裁判所Ⅲ種任用試験を面接で不合格になる。
そのため、やむを得ず国際基督教大学教養学部に進学するも、在学中は第二男子寮で頽廃的な生活に耽溺。しかも、F.ハイエクとA.スミスに没頭し、挙げ句の果てには旧友と会社を立ち上げ、後売却。
松田浩道教授(憲法学)のゼミで卒業後、株式会社クララオンライン、株式会社ノースサンド、株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス等に勤務。
現在は企業の法務担当者として勤務する傍ら、行政書士・司法書士試験等の勉強に励み、労使双方の立場から労働問題の円満解決に取り組む。

働き方改革総合研究所株式会社顧問。メディア出演実績として『週刊新潮 令和2年2月6日号』(新潮社)、『ブラックユニオン』(青林堂)。

当研究所へのご相談・ご訪問

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法人概要

名称DMU総合研究所
本部事務所〒110-0016
東京都台東区台東1丁目7-8 東京ネクタイ会館3階
役員所長  宮 城 史 門
理事  松 岡   亮(大鹿行・東総ユニオン執行委員長)
ほか3名
結成平成31年3月2日(デモクラティック・ユニオンとして)
法人成立の日令和元年10月10日
組織規模単位組合4個
・DMU東京地方本部労働組合
・DMU埼玉地方本部労働組合
・TDCスタッフィングユニオン
・大鹿行東総ユニオン
(総組織人員39名)
TEL03-4221-0094
FAX043-330-3404
e-mailinfo@dmu.or.jp