原告第2準備書面

麻生簡易裁判所令和2年(少コ)第5号
原  告       U
被  告       M

原告第2準備書面

令和3年1月31日

麻生簡易裁判所民事部 御中

原      告                       U

 頭書事件につき,原告は,以下のとおり弁論を準備する。なお,略号等は本書面で定義するもののほかは,従前どおりとする。

第1  被告の主張に対する認否

1  被告準備書面3に対する認否

イ  第1頁及び第2頁の2行目まで

 原告の主張内容については認めるが,被告による「弁護士」や「行政書士」への相談と回答内容については不知。また,行政書士が本件の法律相談を受け付けていたのであれば,行政書士の業務範囲を逸脱するので,いわゆる非弁活動に該当すると思われる。
 原告の訴外K1との通話の存在は認める(被告はごく一部だけを切り出して引用している)が,「ネット掲示板での文面」は不知。当該投稿は原告と無関係であり,被告及び被告の「支援者」の自作自演であると思われる。
 原告の訴外K1に対する発言が「犯罪行為」であり,名誉毀損の違法性阻却事由にあたるという主張は争う。

ロ  第2頁【私信貼り付け事件について】

 被告の体験については不知。
 甲6号証の電子メールを原告はそもそも受信していない。また原告は,当時,訴外K2(電子メールの受信者の一人)から,電話で,「亮ちゃん,あのメールさあ,僕が,2ちゃんねるに貼ったんだよね。」という説明を受けたことがある。
 つまり,被告が問題にする「私信貼り付け事件」の真相は,被告が指摘するところの①であり,その犯人は訴外K2である。実際に,訴外K2は,被告の照会に対し長時間回答しなかったというのであるから,心当たりがあったのではないかと思われる。
 その後,被告から原告らに対し乙11のメールが来たが,原告は,まさに京急バス時代の先輩である訴外K2を被告に売り渡すようなことはできないと考えたことから,訴外K2との上記通話の件は秘匿し,同日7時55分,「全て俺のせいにするなや。他の,お前の,気に入らねーやつが居るんじゃねーの?」と回答して明確に原告の関与を否定した上で,被告が他人からの恨みを買っている原因の一つとして,被告の訴外Sに対する誹謗中傷の事実を指摘した(ようは,菅井ちゃんの,事実じゃない事とか,妄想で,書いてる)。
 上記文面を読んだ被告が,なぜ,私信貼り付け行為を原告が認めた,と理解するのかまったく不明である。原告は,何でも原告のせいにするのはやめろと言って,明確に原告の関与を否定している。
 なお,甲6の電子メールは,今回の訴訟追行にあたり,訴外K3から提供を受けたものである。

第2  原告の追加主張

1  原告の訴外K1に対する発言が刑法上の脅迫罪に該当しないこと

 被告は,原告の訴外K1に対する発言(乙8)が刑法上の脅迫罪に該当するので,本件書き込みについて名誉毀損法理における違法性阻却が成立すると主張するようである。
 しかしながら,原告の訴外K1に対する発言(以下,本件発言)は,刑法上の脅迫罪を構成するものではない。

イ  脅迫罪の構成要件

 刑法第222条に定める脅迫罪とは,「本人や親族の生命,身体,自由,名誉または財産に対して害を加えることを告げて,人を脅迫した場合」に成立する罪である。

ロ 本件発言の客体は訴外K1であること

 本件発言は,原告が訴外K1に電話で伝えた内容であり,被告に伝えたものではない。
しかるに,脅迫罪とは「本人や親族」に害を加えること告げた場合に成立する罪であるから,被告に対していかなる害を加えることを告げようと,その客体が訴外K1である限り,脅迫罪は成立しない(あるいは,被告と訴外K1は,姻戚関係にあるのだろうか)。

ハ  本件発言で原告が訴外K1を介し被告に伝えようとした内容は被告に対し原告の誹謗中傷をやめる旨の依頼にすぎないこと

 本件発言の19秒目において,原告は訴外K1に対し,「じゃあ2ちゃんねるでグダグダグダグダ書いてんじゃねえよって言っておいてくれよ。」と言っている。その後に,被告が指摘する「じゃないと俺,つめるぞ,殺すぞ,あの女。」という発言が続くのである。
 つまり,原告は,被告による悪質な誹謗中傷が始まったことを受け,このままでは勢い余って被告を殺すという自力救済に出かねないほどの憤りを感じたことから,訴外K1に対し,そのような誹謗中傷を直ちにやめるよう伝えて欲しい,と依頼したのである。
「あの女をつめる,殺す」という内容を被告に伝言しようとしたわけではないことは,本件発言を普通に聞けば明らかに分かることであり,そのような原告の真意を殊更に隠蔽するためか,被告は長時間の会話の中からわずか26秒の本件発言を切り出し,恣意的に証拠化している。
 このように,本件発言において,原告が被告に対する伝言内容として言ったのは,「じゃあ2ちゃんねるでグダグダグダグダ書いてんじゃねえよって言っておいてくれよ。」の部分だけであり,「じゃないと俺,つめるぞ,殺すぞ,あの女。」の部分は伝言を依頼していないから,脅迫罪は成立しない。

ニ  結論

 以上のとおり,原告による本件発言は刑法上の脅迫罪に該当するものではなく,原告は本件発言で刑事告訴されたこともなければ,取り調べを受けたことすらない。
 原告は,実際には,被告の誹謗中傷のために勤務先が倒産するという被害を受けながらも,被告を殺すことはなく,同じ労働者であるDMU関係者のアドバイスを受けながら本件訴えを提起し,法で認められた手段において被告の責任を追及している。
 したがって,本件発言が刑法上の脅迫罪を構成する事実であるということはできないから,本件発言の存在を前提としても被告による本件書き込みは正当化されず,違法なものというべきである。

以 上

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