原告第1準備書面

麻生簡易裁判所令和2年(少コ)第5号
原  告       U
被  告       M

原告第1準備書面

令和2年12月1日

麻生簡易裁判所民事部 御中

原      告                       U

 頭書事件につき,原告は,以下のとおり弁論を準備する。なお,略号等は本書面で定義するもののほかは,従前どおりとする。

第1  被告の主張に対する認否

1  被告準備書面1に対する認否

 第1段落について,本件がスラップ訴訟であることは争う。原告の請求
は,仮差押が認容されていることからも十分な根拠に基づくものであり,訴額も常識的なものである。
 第2,第3段落について不知。原告の主張する「分裂抗争劇」が具体的にいかなるものなのか被告は知らないが,客観的事実を抽出すれば,被告は,第一にプレカリアートユニオンで名簿を盗んで除名処分となり,第二にはDMU内部で金銭のもめ事を起こして勝手に脱退しただけであり,いずれの労働組合も分裂してはおらず,社会性がない被告が勝手に居場所を失っているだけである。
 第4,第5段落は不知。もっとも,原告は,訴外宮城史門氏の指示で訴えを提起しているわけではないので,訴外宮城氏やその実母を相手方として本件の取下げを要求しても意味が無いと思われる。
 第6段落以降は,本件と無関係な被告の決意表明であり,認否の限りではない。

2  被告準備書面2に対する認否

イ  「1.私の思い」について

 被告の感想文であり認否に値しない。
 しかしながら,被告が,(原告が被告を中傷しているという思い込みを前提に,原告に対して,ネット上で)「小面憎いことを言った」,「言い返した」こと,(被告にとって)「口は災いの元」であること,「ネットに情報をばら撒」いたこと,「知らない間に人を傷つけた」こと,「私だけが悪いんじゃない」(つまり,少なくとも被告は悪い)こと等を自認していることを指摘しておく。
 これらは,本件書き込みが被告の犯行であることを示唆する間接事実である。

ロ 「2.事実認否」について

 第1,第2段落について否認ないし争う。原告は本件訴訟の追行のため訴外宮城氏の手助けを受けたことはあるが,書面の作成者は原告である。
 被告が宮城氏に金銭を強請ったこと,怪文書をばら撒いたこと,宮城氏の意思とは無関係にプレカリアートユニオンの名簿を窃取したことにつき,甲5の1を参照されたい。
 第3段落は否認する。原告は「5ちゃんねる」に何も書き込んでいない。また,乙1号証は訴外宮城氏らを相手方とする調停申立書とその呼出状であり,原告といかなる関係があるのか不明である。
 第4,第5段落は否認ないし争う。
 被告は,「5ちゃんねる」において,長期間にわたり被告ら多数者を誹謗中傷しているばかりか,他人になりすまして投稿をすることもあると自ら言明している(甲6)。被告によれば,被告は,プレカリアートユニオンの組合員である訴外R氏,訴外K4氏ばかりか,DMUの組合員である訴外K1氏に化けることもあるというのである。
 被告は,乙6の投稿記事を原告が書いたと主張するようであるが,何の根拠も無い思い込みである。そもそも,乙6は,その体裁からして,「5ちゃんねる」の真正な写し(プリントアウト)ではない。表示用URLも記載されておらず,その存在すら疑わしいと言わざるを得ない。仮に乙6が「5ちゃんねる」上に存在するとしても,多数者に「化ける」こともあるという被告の自作自演である可能性が高い。
 仮に,被告の自作自演ではないのであれば,被告は,乙6の投稿記事について発信者情報開示請求をして投稿者を特定することもできたはずであり,この点からも被告の自作自演が疑われる。
 原告が被告を「5ちゃんねる」や電子メールや電話で中傷等したこと,原告が被告に対し投稿を自認したこと等は否認する。
 第6段落は不知。訴外宮城氏の活動は本件に無関係である。
 第7段落は否認する。原告は訴外K2氏に対しそのような発言をしたことはない。本件書き込みにおいても,被告は,「証拠はちゃんと保管してあります」と言明していたはずである(甲1)から,保管しているという「証拠」を早々に提出されたい。
 第8段落は,原告が被告と電子メールでやり取りをしたことは認め,その余は否認ないし争う。仮に,そのような文面が存在するのであれば,被告がなぜそれを証拠提出しないのか不思議である。
 第9段落は争う。原告は,被告を何ら攻撃していないが,仮に乙6が実在し,しかも原告の投稿であったとしても,何ら「長期」にはわたらない(わずか30分間のようである)のであり,被告が強度の被害妄想を前提に主張をしていることが分かる。
 第10段落は争う。

ハ 「3.その他,原告に伝えたいこと」について

 第1ないし第3段落は否認ないし争う。その理由は前記「ロ」で述べた通りである。
 第4ないし第6段落は不知。なお,訴外宮城氏は,被告にそのような揶揄をしたことはないとのことである(甲5の1)。また被告の質問に一応回答しておくと,原告は,後に詳述するが,被告から本件書き込みをされて以来,営業職として受注が全く上がらなくなり,ついには勤務先の会社が倒産するという重大な損害を受けている。そのような原告が被告の不法行為責任を追及せざるを得ないのは当然である。
 第7ないし第9段落は不知。原告は警視庁荻窪署に行ったことも鳥羽なる警察官と話したこともない。また,原告が被告に「凄んだ」事実も,第三者を「脅した」事実もない。
仮に,原告が被告以外の者を「脅した」として,なぜ,無関係の被告が原告を「5ちゃんねる」で中傷することが正当化されるのか不思議である。
 第10ないし第11段落について,原告は営業職であるからドライバーではない。DMUの副代表であることは認めるが,いずれにせよ,労働組合で物を盗んだり金銭を強請ったりして除名処分となり,定職に就いたことが無い被告に指摘される筋合いではない。

第2  原告の主張

1  本件は裁判上の自白が成立していること

 本件は,被告が「5ちゃんねる」上に投稿した本件書き込み(甲1)により原告の社会的評価が低下したところ,その無形損害について損害賠償を求めるものである。
 今般,被告は,準備書面2において,「私はOさんの長期に亘る卑劣な攻撃に対して対抗言論を展開した」と表明しており,被告が本件書き込みを投稿したことについて裁判上の自白が成立した。
 上記のとおり,被告の抗弁(対抗言論,等)は,発信者情報開示請求などの証拠による裏付けがない被告の思い込みであり到底措信できないから,早期の結審並びに判決言い渡しを原告は求める。

2  本件書き込みによる被告の損害が重大であること

 被告は,本件において,原告は「小面憎いこと」を言われた程度である,というようであるが,実際は,被告の書き込みを措信した原告の勤務先及びその取引先の関係者が,営業職である原告に仕事を依頼しないようになり,7月頃,ついに,原告の勤務先は倒産してしまった(甲7)。
 原告は,その後,アルバイト等で食いつないではいるが,原告は妻帯者であり,住宅ローン等の負債も抱えているところ,勤務先が倒産し所得が低下したことによる家族を含む関係者の心労は大きい。
 したがって,本件においては,被告の不法行為にかかる原告の無形損害の額は,通常に比して大きく算定されるべきである。

3  被告提出の陳述書が偽造文書であること

 被告が提出した訴外K1氏の陳述書(乙5)は,K1氏の署名欄になぞった跡があることから,被告による偽造文書であることが疑われる。したがってその内容に信用性はない。

4  被告提出の絵画が偽造文書であること

 被告が提出した封書の封筒(乙4の2)は訴外宮城氏が被告に送付した物であるが,宮城氏は,その中に,乙4の1の絵画を入れたことはないと言っている。
 宮城氏は,被告から,中身が空で,字が汚く,しかも異臭を放つ茶封筒を送りつけられるという嫌がらせを受けたので,当該茶封筒を折りたたみ,乙4の2の封筒に入れ,「気持ち悪いのでやめるように言ってください」というメモを同封し,被告に返送した,とのことであった(甲5―1)。
 いずれにせよ,以上の次第で乙4は原告とは無関係であり,「5ちゃんねる」上の自作自演と同様,被告のひとり芝居であると思われる。

以 上

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