請求の拡張申立書(令和3年9月17日)


令和2年(ワ)第14565号 総会決議不存在確認等請求事件
原  告  宮城 史門
被  告  プレカリアートユニオン

請求の拡張申立書

令和3年9月17日

東京地方裁判所民事第11部に係 御中

           

原告訴訟代理人弁護士  玉 真 聡 志
同      弁護士  多賀野  司 

 原告は、被告プレカリアートユニオン(以下「被告ユニオン」とする。)に対する主位的請求5及び予備的請求5の請求を追加し、次のとおり請求の趣旨を変更する。

請 求 の 趣 旨

(主位的請求)

1 平成30年9月8日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載1の決議が不存在であることを確認する。
2 令和元年6月23日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載2の決議が不存在であることを確認する。
3 令和元年9月15日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載3の決議が不存在であることを確認する。
4 令和2年9月12日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載4の決議が不存在であることを確認する。
5 令和3年9月11日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載5の決議が不存在であることを確認する。
6 訴訟費用は被告の負担とする。

(予備的請求)

1 平成30年9月8日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載1の決議が無効であることを確認する。
2 令和元年6月23日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載2の決議が無効であることを確認する。
3 令和元年9月15日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載3の決議が無効であることを確認する。
4 令和2年9月12日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載4の決議が無効であることを確認する。
5 令和3年9月11日に開催された被告プレカリアートユニオンの総会における別紙総会決議目録記載5の決議が無効であることを確認する。
6 訴訟費用は被告の負担とする。

第1 請求の拡張の理由

 1

 本件訴訟について、原告は、被告ユニオンに対し、当初、上記した主位的請求及び予備的請求の1ないし3の確認を求める請求及び同各6を請求した。

その後、被告ユニオンは、令和2年9月12日付で被告ユニオン定期総会(以下「本件第4次総会」とする。)を開催し、被告ユニオンの代表者となる執行委員長を訴外清水直子こと関口直子(以下「関口氏」とする。)、訴外BことB’(以下「B氏」とする。)を被告書記長あるいは副執行委員長等とする旨の選任決議を採択したので、原告は、令和2年11月20日付で、本件第4次総会の各決議が不存在ないし無効であることの確認を求める請求追加申立てを行った。

一方で、被告ユニオンは、本件訴訟で各総会決議の存否やその適法性が争われているにもかかわらず、これらの決議の適法性を何ら示すことの無いまま、令和3年9月11日に第10回定期大会(以下「本件第5次総会」とする。)を開催し、被告ユニオンの代表者となる執行委員長を訴外清水直子こと関口直子(以下「関口氏」とする。)、訴外野木薫(以下「野木氏」とする。)を被告副執行委員長、訴外稲葉一良(以下「稲葉氏」とする。)を被告書記長、訴外郡山喜行を被告書記次長とする旨の選任決議を採択した(甲36)。

しかし、本年度採択された本件第5次総会の各決議が不存在あるいは無効であることは明らかであり、その理由につき詳述する。

2 被告ユニオンの各期定期大会の決議に瑕疵の連鎖が生じており、関口氏らは執行委員長等の権限を有しないこと

  本件訴状、第1準備書面ないし第2準備書面、請求の拡張申立書で既に述べたとおり、被告ユニオンの各定期大会で役員選任等の決議が採択される際、それぞれの決議に至る手続上に重大な瑕疵が存在したことから、各大会の決議は不存在あるいは無効となり、結果として、被告ユニオンの役員選任決議も不存在あるいは無効となる。

また、関口氏が初めて執行委員長に選任されたときの決議自体、被告ユニオンの組合規約を無視した手続が履践されていたことは明らかである。

このように、関口氏が初めて執行委員長に選任されたとする決議から本件第5次総会の決議採択まで、関口氏が被告ユニオンの執行委員長を務めている事実からすると、同氏が執行委員長に選任される旨の決議に関し、被告ユニオン組合員の全員出席した総会が開催される等、被告ユニオン内で組合民主主義を貫徹した総会開催手続が採られない限り、手続の著しい瑕疵が治癒されないのは既述したとおりである。

したがって、関口氏らは、不存在の決議あるいは違法無効な決議に基づいて被告ユニオン執行委員長に選任されただけなので、被告ユニオンの役員としての権限を有しない。

しかし、関口氏らは、自身らを被告ユニオンの執行委員長であると自称し、被告ユニオンの各定期大会を招集し、自身らを役員に選任する決議を繰り返し、本年度の第10回定期大会(本件第5次総会)でも同様の決議を採択して自らを執行委員長に選任した。

本件第5次総会での決議採択にこのような経緯が存することからして、本年度に採択された当該決議が不存在あるいは無効であり、関口氏らに被告ユニオン執行委員長の権限が認められないのは明らかである。

3 本件第5次総会の決議採択では被告ユニオンにおける総会決議の手続に関する定めが無視されていたこと

 上記2のとおり、権限を有しない者が主体となって開催した被告ユニオンの本件第5次総会での決議はいずれも不存在あるいは無効となるが、下記の理由によっても、当該各決議はいずれも不存在あるいは無効となる。

(1)選挙を取り仕切る大会運営委員が任命されていないこと

被告ユニオンの組合規約第12条(甲1号証)及び選挙大会規定第4条(甲2号証)に依ると、執行委員会が任命した大会運営委員が、大会運営上の一切の権限をもち、選挙を取り仕切ることとなる。

しかしながら、被告ユニオンの執行委員会は、本件第5次総会のための大会運営委員を任命していない。

したがって、本件第5次総会は、組合規約第12条及び選挙大会規定第4条に違反する手続上の瑕疵が存する。

(2)総会決議に本来不可欠である代議員選任の手続がとられていなかったこと

 被告ユニオンの執行委員長、副執行委員長、書記長などの組合役員は、「大会において代議員の直接無記名投票によって選ぶ」と定められている(規約第17条1項・選挙大会規定第5条)。

なお、本申立書の別紙5の決議で選任されたとした役員については、原告らで調査し判明した限度で記載した点を付言する。

このように、本件第5次総会前、被告ユニオン執行委員長を自称する関口氏は、自らを被告ユニオン執行委員長に再選するため、代議員選出手続をないがしろにして恣意的に介入し、執行委員長選任手続をコントロールした。

労働組合には、憲法及び各種労働法規によって通常の任意団体にはない特別の権能が付与されたことから半公的性格が認められ、組合の内部運営を民主的に行うこと、具体的には組合運営上の重要事項に対する組合員の直接参与手続が求められる(労働組合法第5条2項等参照)(甲20号証の1ないし同20号証の2)。かかる点は、被告ユニオンの運営においても例外ではない。

しかしながら、関口氏は、自身らを役員に再任させるため、代議員選出過程へ恣意的に介入して、自身らを被告ユニオンの執行委員長及び書記長に選出させた。

関口氏らのこのような所為は、組合民主主義、すなわち組合員の直接参与手続を侵害するものであるから、役員選任手続上の重大な瑕疵に該当する。

仮に、関口氏らが、代議員選任の通知を組合員らに送付していたとしても、当該通知が被告ユニオンの組合員全員に送付された事実が存しない以上、本件第5次総会の決議が組合民主主義に反する決議であったことは明らかである。

したがって、本件第5次総会には、選挙大会規定第5条、第7条及び第10条に違反する手続上の重大な瑕疵が存する。

(3)原告に地域ブロックの代議員として立候補する機会を与えなかったこと

ア 関口氏らは原告の代議員立候補の機会を侵奪したこと

原告が訴外DMUを結成したことが、被告ユニオンに対する分派活動にあたるという理由で、被告ユニオンは、原告に対し、平成31年3月17日付で組合員としての権利停止処分(平成30年3月17日から1年間)(以下「第1処分」とする。甲6)、令和元年8月18日付で1年間の権利停止処分(以下「第2処分」とする。甲28の1)、令和2年7月5日付で権利停止処分(以下「第3処分」とする。甲28の2)、同年9月22日付で除名処分(以下「第4処分」とする。甲37)を下した。

第1処分ないし第4処分のいずれにおいても、関口氏らは、原告に対し弁明の機会を付与しないまま一方的に尋問を行った。

被告ユニオンは、第1処分から第4処分を下すことで、原告を被告ユニオンの選任決議過程に関与させることなく、本件第5次総会の決議を採択した。

イ 被告ユニオンは、原告に弁明の機会を付与しなかったこと

組合員にとり、権利停止処分は重大な権利侵害処分であるから、権利停止処分を下された原告には、弁明の機会が付与されるべきである。

被告ユニオンの規約でも、「本人の弁明を妨げない。」ことが同規約第7条3項に規定されている。

しかしながら、被告ユニオンは、原告に対し、第1処分ないし第5処分を下す前の都度、弁明の機会を実質的に付与あるいは通知しないまま、第1処分ないし第4処分を下した。

即ち、被告ユニオン内では、原告に対する不利益処分手続では、規約上認められている弁明の機会が付与されなかったのであった。

   ウ 原告に対する不利益処分は報復目的の可能性が高いこと

仮に関口氏らが、組合員に対する権利停止処分を下す権限を有していたとしても、当該処分は権利の濫用として無効となる。

今回、原告は、被告ユニオンないし関口氏の不正を指摘し、被告ユニオン運営の是正を求めた。原告のかかる行為は、被告ユニオンの運営上の不透明さを是正し、浄化を図るというきわめて真っ当なものであった。

しかしながら、被告ユニオンは、原告に弁明の機会を付与しないまま、同人が分派活動を行ったという、そもそも不明瞭な処分理由を元に権利停止処分を下した。

これは、関口氏の個人的事情である外遊や執行委員長の研修費増大による被告ユニオンの財政危機を原告に度々指摘されたことに対する関口氏の報復と考えるのが、時系列に鑑みて相当である。

以上の諸事情からして、被告ユニオンによる原告宮城に対する権利停止処分は、いわゆる権利の濫用(民法1条3項)に該当し、無効であることは明らかである。

したがって、原告は、被告ユニオンの組合員として代議員に立候補する権利が存したが、関口氏らが下した第5処分によって、原告が被告ユニオンの代議員に立候補する道は将来にわたって途絶された。

エ 小括

被告ユニオンの組合員は、当然のことながら、平等に、すべての問題に参与し、均等の取り扱いを受ける権利を有する(規約第5条・甲1号証)。

かかる規約は、労働組合内部で、組合員には市民的自由が保障されていることからの帰結である(甲20号証の2)。

したがって、被告ユニオン内で代議員選出のための選挙や、本部役員選出のための選挙が実施される場合、組合員には、代議員や本部役員に立候補する権利(被選挙権)が保障されていることも当然の理である。

しかしながら、上記のとおり、本件第5次総会の代議員を選出するための手続が実施されなかっただけでなく、原告に本来無効である権利停止処分が下されたことから、原告は、本件第5次総会において、地域ブロックの代議員として立候補する機会を与えられなかった。

その結果、原告は、本部役員に選出されるために立候補する機会も与えられなかった。

労働組合内の組合民主主義(労働組合法第5条2項5号)を担保するためには、組合員各人に選挙権が付与される必要がある。

そして、被告ユニオンで代議員制が採用されていることを踏まえると、被告組合員の誰にでも代議員への立候補権あるいは被選挙権が付与される必要がある。

しかしながら、関口氏らは、自己に有利にすべく、代議員選任手続へ恣意的に介入しただけでなく、原告に対し、本来無効である権利停止処分を下すことで、原告が代議員に選任される可能性を剥奪した。

関口氏らのこのような所為は、原告らの代議員としての被選挙権を侵害し、被告ユニオン内の組合民主主義を著しく侵害するものであり到底是認され得ない。

4 本件第5次総会の決議には重大な瑕疵が存し無効あるいは不存在であること

 上記のとおり、本件第5次総会の決議には、重大な瑕疵が存在する。同総会に重大な瑕疵が存する以上、同総会で採択された決議は、不存在あるいは有効要件を満たさず無効であると解さざるを得ない。

次に、前述のとおり、本件第5次総会は、本件第1次総会から第4次総会までの瑕疵ある総会に基づき開催された定期大会なので、瑕疵の連鎖を帯び違法性を承継する。

以上の事情から、本件第5次総会で関口氏らを執行委員長等の被告ユニオンの役員に選任した決議は、不存在あるいは無効となる。

第2 結論

よって、原告は、被告に対し、請求の趣旨記載の判決を求める。

第3 求釈明事項

 1 被告が主張する「慣例」について

被告は、本件第1次総会から第4次総会に至るまで、「慣例」によって代議員等を選出したことを主張し、かかる「慣例」の存在として稲葉一良作成による報告書(乙12)を挙げている。

しかし、この報告書(乙12)は、数名の被告組合員に対し、被告定期大会の代議員となった事実経緯を聴取しただけの内容に過ぎず、これらの者が、多数の被告組合員の中から敢えて代議員に選任された理由、代議員の具体的な選任過程に触れられた内容を含まない。

したがって、乙12の報告書は「慣例」を説明する証拠ではないので、被告定期大会の「慣例」が説明されていない。

そこで、本書面を以て、被告に対し、改めて上記した「慣例」の具体的な説明を求める。

次に、かかる「慣例」が組合民主主義に反しないと被告が考える点についても主張されたい。

 2 補助参加人ファーストボーイ提出の第6準備書面で示された求釈明事項について

被告より、当該求釈明事項について一切主張、反論等がなされていないため、改めて主張ないし反論を求める。

 3 大会議事録の提出について

原告第2準備書面で触れた点であるが、被告は、被告規約の2回の改定(平成25年9月14日付、同26年9月14日付)に係る定期大会の議事録を未だ提出できていない。

仮に、被告が、定期大会を経ずに被告規約を改定していた場合、被告内部のガバナンスが欠如しているものと認められ、本件で問題とされる第1次総会から第5次総会に存する瑕疵の連鎖に対し、重大な影響を生じさせる事由と言えることから、上記規約改定に係る議事録の提出を改めて求める。

 4 本件の解決に向けた原告の上申

本件で原告が問題とする各定期大会の決議の有効性については、被告に立証責任があると解される。

しかしながら、原告が本訴を提起した令和2年6月11日から前回期日の令和3年9月13日まで、本件では既に相当な期間を経過したにもかかわらず、被告は、原告及び補助参加人らの求釈明に対し、未だ回答ないし立証をしていない。

一方で、時間の経過により、被告の年次定期大会の決議の有効性の当否を内容とする追加申立てが続き、本件の紛争が徒に長期化することとなっている。

原告及び補助参加人から求めた従前の求釈明に対し、被告が速やかに対応しない以上、各総会決議の有効性を立証できる客観証拠が無いという前提で、御庁には早期のご判断を賜りたくここに上申する。

第4 本件訴訟で援用する書面等の追加について

 補助参加人ファーストボーイが本件にて提出した補助参加申立書、同第1準備書面ないし同10準備書面、丙第1号証ないし同第47号証につき、援用未了である補助参加人ファーストボーイの各準備書面及び丙各号証につき、原告は、そのいずれも本件訴訟上で援用することを付言する。

以 上

(別紙)

総 会 決 議 目 録

(1〜4を省略)

 5 決議日 令和3年9月11日

   決議が実施された総会 第10回定期大会(第12回大会)

   決議の内容(1)清水直子こと関口直子を執行委員長に選任すること
        (2)野木薫を副執行委員長に選任すること
        (3)稲葉一良を書記長に選任すること
        (4)郡山喜行を書記次長に選任すること

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