準備書面(1)(令和元年7月19日)

平成31年(不)第20号プレカリアートユニオン事件
申立人            DMU総合研究所
被申立人           プレカリアートユニオン及び清水直子こと関口直子

準備書面(1)

令和元年7月19日

東京都労働委員会 御 中

DMU総合研究所
執行委員長 宮 城 史 門

申立人は,7月5日付準備書面(3)までの被申立人の主張を踏まえ,以下の通り反論,主張を補充する。

もくじ

はじめに

本案調査開始決定通知書によれば,被申立人プレカリアートユニオンの代表者は清水直子なる人物ではなく,関口直子氏であることが決定されている。
同決定を踏まえ,申立人の書面では,今後他の訴訟等で本案の書証を引用する可能性が高いことも考慮し,被申立人が「清水直子」と呼称する人物を,すべて,本来の氏名である「関口直子」と置き換えて表記する。
被申立人においては,決定書の内容と異なる人名を使用して本案の審査や申立人の主張立証活動を妨害しないよう申し入れる。

申立人の主張

中央フードサービス事件の仕事外しについて

事実関係

被申立人関口氏が3月9日(土)の団体交渉申入直後,関口氏が前田から中央フードサービス事件の業務を取り上げた一件について,被申立人は,「これ以上の負荷をかけまいと,机上に3冊積んであった事件記録のうち1冊を前田氏の手元から引き上げたに過ぎない。」「関口は前田氏に対して,これ以外には,具体的な行為や言動を行っていない。」と主張した(準備書面3・2頁)。
しかし,実際には,関口氏は中央フードサービス事件の事件記録を取り上げると同時に,「お願いしますという風に言いましたけれども。」「前田さんではない方にお願いしようと思います。」などの発言をした(甲25―2)。
被申立人の主張は真実に反する。

仕事外しは悪質な不当労働行為である

前田は被申立人の労基法上の労働者であるところ,被申立人は前田に対して労務指揮権を有するとはいえ,労働組合を結成したことを理由又は契機として,前田が担当していた業務をその意に反して取り上げる行為は,いわゆる追い出し部屋やシュレッダー係への配転と同様に前田の労働環境を悪化させ,組合活動意思を萎縮させるパワーハラスメントとして支配介入の不当労働行為を構成する。
他方,被申立人が主張するとおり,前田と被申立人との関係が「個別の業務委託」であったと解すれば,上記仕事外しは,何らの補償を伴わない「個別の委託契約」の一方的な解約であり,前田の所得機会を直接喪失させるものとして不利益取扱にも該当し,労基法上の労働者に対する場合と比べて不当労働行為性が強化される。

不当労働行為意思

不当労働行為意思について,通説によれば「不当労働行為意思の有無の判断は,諸々の間接事実を総合して判断されることになる」(菅野「労働法」第11版977頁)ところ,その基準について,判例は,「不当労働行為意思は,直接に組合弱体化ないし具体的反組合的行為に向けられた積極的意図であることを要せず,その行為が客観的に組合弱体化ないし反組合的な結果を生じ,又は,生じるおそれの認識,認容があれば足りる」(東京高判平17.2.24労判892号)と説示している。
関口氏は,被申立人も認めるとおり,3月9日の団体交渉申入れの直後から,多数の被申立人組合員が居合わせる中,大声で「前田さん,大事なものを失いましたねぇ。」と繰り返し発言して前田を威嚇するなど,申立人を嫌悪する意思を隠そうともしなかった。
このように,申立人を結成したことを理由又は契機として,雇用契約に基づいて従来担当していた業務を突如取り上げられ,又は委託されていた業務を何らの補償なく解約されるとすれば,それらを客観的に考察したときに,前田が経済的又は精神的な打撃を受け,申立人の活動をすることを躊躇又は断念する虞があることは当然に認められる。

小括

以上要するに,被申立人が前田から中央フードサービス事件の残業代算出業務を取り上げたことは,前田の労働者性について被申立人の主張を採用したとしても,少なくとも支配介入か,ひいては不利益取扱の不当労働行為をも構成する。

前田は労基法上の労働者である

関口氏が前田の業務を一方的に取り上げた事実は,それだけで直接に被申立人と前田との間で使用従属関係が存在した事実を物語る。
被申立人が主張するような,「個別の業務委託」に基づく対等な商取引関係など存在しない。
仕事外しの不当労働行為が,前田が労基法上の労働者であることを裏付ける間接事実でもあることを強く申し添える。

賃金及び立替金の意図的な支払遅延について

事実関係

平成31年3月6日(水),前田は,2月分の賃金及び立替金(賃金等)の金額を取りまとめ,関口直子氏に請求書と出金伝票(甲28)を提出した。前田としては,慣例どおり,遅くとも3銀行営業日後の3月11日(月)には支給があるものと考えていた。
ところが,3月9日(土)に申立人が団体交渉を申し入れたところ,被申立人は,請求の3銀行営業日後である3月13日(水)になっても賃金等を支給しなかった。
そこで,前田が,念のため関口氏に催促したところ,関口氏は,突如「精算は月末にまとめて対応させていただきます。」と発言し,賃金等の支給を拒否した(甲5)。

被申立人は前田の賃金等を支給することができた

被申立人が主張するように,被申立人では,賃金等の請求は現金での当日支払いが原則である(賃金である「行動費」の請求方法について,被申立人7月5日付措置勧告申立書3頁)。銀行振込は,あくまでも,被申立人の小口現金に持ち合わせがない場合における例外的な取扱いであった。
被申立人は,平成30年8月の時点で,少なくとも2500万円の現預金を保有していたが(甲27),それ以降,被申立人の資産が減少するような突発的事象が発生したことはなかった。
すなわち,被申立人は,3月13日の時点で,前田の賃金等を速やかに支給することができる状況にあった。

非組合員には賃金等を遅滞なく支給していた

しかも,被申立人は,この頃,佐藤智秋氏やBことB’氏のような前田以外の役職員については,慣習通りの支払時期に賃金等を支払っていた(3月7日の佐藤氏への支払について甲26)。

申立人結成以前は請求後3日前後で賃金等を支払っていた

前田の賃金等は,申立人を結成するまでの間は,次の通り,その請求後概ね3銀行営業日以内に支給されていた。

請求日支給日銀行営業日数
1月支給分1月22日1月24日1日後
2月支給分2月22日2月28日4日後

被申立人は,前田の賃金及び立替金について支払期限の取り決めがなかったと主張するが,被申立人自身が主張する「行動費の請求方法」(7月5日付「措置勧告申立書」3頁)が請求後即時の現金決済であり,前田が被申立人の一般組合員としてその対象者であった以上,それ自体が支払期限に関する取り決めである。
さらに,被申立人が主張するとおり,前田と被申立人との関係が「個別の業務委託」であったとすれば,2月分の賃金(報酬)は,請負と委託のいずれに拠って理解しても,被申立人は,遅くとも3月1日の時点で代金の支払い義務を負う(民法633,648の2)。「個別の業務委託」を役務の売買と解すれば,被申立人は,目的物である委託事務の遂行と同時に支払義務を負う(民573)。
以上のことから,被申立人が主張する「行動費の請求方法」に基づく支払時期の慣習は,契約の類型や就業規則の有無に関係なく,被申立人を拘束する(商法1,通則法3)のである。
結局のところ,被申立人が,慣習に反した3週間もの賃金等の支払遅延を正当化できる余地は一切ない。

賃金等の定期支払義務は不当労働行為の成否に関する争点ではない

以上,被申立人が前田の賃金等を即日か又は3銀行営業日以内に支払う義務を負っていたことを示したが,支払時期に関する契約や慣習の有無は,それ自体としては不当労働行為の成否に関係がない。
不当労働行為の成否に関する主要な争点は,

㈠組合結成後に賃金等の支払時期が不利益に変更されたか否か
㈡その不利益変更が組合活動を理由又は契機とするものであったか否か
㈢その不利益取扱によって申立人の組合活動が阻碍制約されたか否か

である。
すなわち,被申立人が賃金等の支払時期について法律上の義務を負っていなかったとしても,被申立人が,①申立人の結成を契機として,②賃金等の支給が可能であったのに,③申立人を差別し,その組合員に対してのみ,④あえて賃金等の支給を遅らせた以上,上記慣習の有無や法律上の拘束力を考慮しなくても,被申立人による賃金支払遅延行為の不当労働行為性は十分説明されるのである。
被申立人の主張は,この点でも,結論を何ら左右するものではない。

不当労働行為意思

不当労働行為意思に関する通説及び判例,関口氏が申立人を嫌悪していた事実は上記1―ハで既に指摘したが,申立人を結成したことを理由として,重要な労働条件である賃金等の支払時期を不意に3週間も延期され,もしくは,委託又は請負の報酬,役務の売買代金の支払時期を3週間も延期されるとすれば,それらを客観的に考察したときに,前田が申立人の活動を躊躇し,ひいては経済的又は精神的な打撃を受け,それを断念する虞があることは当然に認められる。

小括

以上要するに,被申立人は,前田に慣行通り賃金を支給することが可能であったところ,佐藤氏ら非組合員には慣行通りの支給を続けながら,団体交渉申入れを契機として,組合員である前田に対してのみ,3週間も賃金等の支払を遅延させた。
賃金等の支払時期が労働条件の一部を構成する以上,申立人の組合活動を理由又は契機として,申立人組合員を差別して不利益に変更すれば,それだけで,直ちに不利益取扱の不当労働行為が成立する。
賃金の支払時期に関する不利益取扱が前田の生活を不測に脅かし,その組合活動意思を萎縮させる虞があることは客観的に明らかであるから,上記不利益取扱は支配介入にも該当する。

「警告書(甲9,以下「本件警告書」)」の送付について

ビラ配布が労働組合の正当な活動であること

ビラの配布は,もっとも典型的な労働組合の団体行動権に基づく組合活動権の行使として憲法上保障されているところ,通説及び判例によれば,その内容が悪意のある中傷や真実の歪曲に及ばない限りにおいて,その対象に役員や管理職者,職制個人が含まれていたとしても,直ちに違法とはならない(申立人7月11日付「答弁書」5頁)。
しかし,被申立人は,ビラ(甲13)の内容が虚偽であると縷々主張するので,被申立人が被申立人5月20日付準備書面(1)で特定した限度で,ビラの真実性について以下主張立証する。

「専従者の出勤日が週3・4日となっています」について

被申立人では,街宣活動やビラ配りなどの争議活動の予定は,毎月第1土曜日の争議団会議で決定しており,それらの争議活動は,役員や専従職制,アルバイトを含む被申立人の組合員が,あくまでも組合員同士の助け合いとして実施する組合活動と位置づけられている。
また,執行委員会や争議団会議といった各種会議は,それぞれ,執行委員もしくは組合員としての資格に基づいて参加できる活動であり,被申立人との雇用関係に基づく業務ではない。
もっとも,争議活動や各種会議に参加した時間について,前田らアルバイトに対しては欠勤控除をするのに,職制専従者に対してはしないという点で不合理な差別があるので,この点がパート労働法に違反することから,申立人が団交を申入れた理由の一となった(甲1)。
そこで,上記を踏まえつつ,団交申入直前の2月のカレンダー(甲29)を例として職制専従者の出勤日数を計算すると,次のとおりであった。

総活動日[1]うち争議活動実質出勤日[2]週あたり
B氏15日4日[3]11日2.75日
佐藤氏18日8日[4]11日2.75日

このように,被申立人における職制専従者の出勤日数は週あたり2.75日であり,ビラで指摘した3〜4日さえ下回る。
よって,ビラの記載内容は真実であるか,真実と異なるとしても使用者である被申立人に有利な誤りであり,違法性はない。

「執行部は,この話し合いを事実上無視……」について

被申立人の組合員であったN氏は,平成31年1月12日の執行委員会に被申立人を訪れ,同氏の勤務先であるA株式会社への街宣活動をやめるよう要請した(甲30)が,関口氏は,その事情を説明しているN氏の発言を,N氏の意に反して10分で打ち切った。
N氏は,電子メールでも再三街宣活動の中止を申し入れていたが,被申立人は,1月12日以降も何ら合理的な説明をすることなく,N氏の意思に反して,やはりU社への街宣活動を強行した。
3月2日の争議団会議でも,一般の被申立人組合員には上記の経緯がなんら説明されないまま,関口氏や佐藤氏によってU社への街宣活動を続けることが決定された(甲31)。
ところが,3月8日,N氏が,「拡声機を取り上げる」「警察を呼ぶ」といった対抗手段を予告する事態となったので,ついに,被申立人はU社への街宣を断念した(甲32)。
よって,この点についてビラの内容は真実である。

「和解・金銭退職にあたって……」について

団体交渉申入書記載のとおり,関口氏は,C事件(御庁平成30年(不)第38号事件)の和解にあたって,T社に対する連帯保証債務が和解の結果として前田に帰責し,和解金N万円を得ると同時にN万円の負債を負うことになるから,拠出金を減免してほしいと要望した。
すると,関口氏は,「(前田は)組合を,なるべく安く利用するための場所として見ていたということが分かった。」として前田を誹謗したばかりか,前田のCにおける残業代や解雇補償金をもって,「組合のお金ですから。」と放言した。(甲1の9〜10頁,甲33の2)。
前田は,関口氏の要求どおりN万円の拠出金を支払えば,実質的な和解金N万円に対して2割5分もの拠出金を支払うことになることから,関口氏の発言について,「ウソじゃないか。」との感想を抱いた。
上記の会話は,東京地方裁判所の狭小な控室内でなされたものであるが,前田は,その際の関口氏の態度について,「すごまれた」との感想を抱いた。
よって,この点についてビラの記載内容は真実である。

「組合から賃金(行動費)〜」について

ビラの作成日である3月9日の時点において,申立人の規約では,組合員の資格を「プレカリアートユニオンの労働者を中心に組織する」と定めていた。
そこで,申立人は,被申立人に勤務する労働者に加入を呼びかけつつ,他方では,それ以外の者も原則として加入できる旨をビラで表明した。
いずれにせよ,3月14日の時点で,被申立人が申立人の規約を閲覧したことは一度もなく,被申立人の主張する「想定」は申立人規約についての憶測にすぎない。
よって,ビラの記載内容は真実である。
何よりも,労働組合における組合員の範囲は,団結権の行使として組合が自主的に決定すべき事項である。使用者である被申立人から,組合員の範囲について「想定」を指摘されるいわれはない。

ビラの内容と関係なく本件警告書の送付は不当労働行為である

以上のように,ビラ(甲13)の内容は真実であるが,仮に真実と異なる点が存在した場合でも,本件警告書の送付は不当労働行為であることを示す。
本件警告書は,ビラについて「事実に反する不当な言いかがりで……代表者,役員を誹謗中傷,名誉を毀損」すると指摘するのみならず,申立人を「組合内派閥」と位置づけた上で「結成する」ことを「容認できない」と指摘し,「やめるよう警告」する内容である。
もとより,被申立人の規約(乙1)上,前田は,被申立人で「派閥(グループ)」を結成しない義務を負うものではない。規約上問題になりうるのは,あくまでも,派閥の結成に限らず,何らかの手段をもって被申立人の「統制又は秩序」「組合活動」を乱す行為に限られる。
換言すれば,そうした結果を招かないように配慮する限りは,被申立人で(労働組合以外の)派閥・グループを結成することさえ,当然に許容されるのである。
仮に,申立人のような労働組合を含む何らかの「派閥」の結成が,それだけで被申立人の「組合活動」や「統制又は秩序」を乱し,統制処分事由に該当するとしても,前田は,被申立人の労働者として,規約に対しての上位規範にあたる憲法及び労働組合法に基づく団結権,団体行動権を有しているのであるから,被申立人の規約を根拠として労働組合の結成を制約することは許されない(この場合,被申立人の規約は公序良俗違反のために無効と評価されよう)。
とすれば,被申立人が,申立人を結成したことをもって前田に「警告」を発すべき正当な理由は何もなく,本件警告書の趣旨は,つまるところ,被申立人が,被申立人規約に関する独自の解釈に依拠して憲法上の権利である団結権を否定し,「警告」の名を借りて,使用者として申立人の解散を命令するところにあったというべきであるから,法7条3号がいう支配介入の最たるものとして不当労働行為を構成する。
さらに,本件警告書では,前田が「経費の精算に関して大声を上げた」とも指摘されているが,そのような事実関係自体が存在せず,被申立人によるでっち上げである。
事実無根の内容を根拠又は理由として「警告」を発することは,被申立人の組合敵視に基づく威嚇行為に他ならず,本件警告書の送付は,この点でも当然に支配介入の不当労働行為を構成する。

本件警告書送付後の経緯

本件警告書を受けて,申立人は被申立人に「回答書」を送付し,ビラにおいて摘示された事実を列挙しながら,それらの根拠を具体的に説明した(甲10)。
併せて,ビラの配布を1週間後である3月21日まで無条件に停止することを申し入れ,「ご検討の上,改めて貴見をお聞かせ願えますでしょうか。」として労使間の協議を呼びかけた。
ところが,被申立人は,現在に至るもビラの内容について申立人に協議を申し入れたことはなく,ビラの如何なる部分が事実と異なるのかを一度も具体的に指摘しないまま,3月18日の懲戒解雇にあたる統制処分を強行した。
上記の経緯に照らせば,被申立人が,被申立人としての一応の根拠が認められる見解に基づいてビラの内容に抗議することではなく,単に前田個人を威嚇して申立人の組合活動を萎縮又は断念させ,使用者として申立人の解散を命令することを目的として本件警告書を送付した事実は自ずと明らかである。

不当労働行為意思

不当労働行為意思に関する通説及び判例,関口氏が申立人を嫌悪していた事実は上記1―ハで既に指摘したが,申立人を結成したこと又は真実性が認められる内容のビラを配布したことを理由として,前田の行動について事実無根の内容を前提としながら「組合活動を乱すな」と「警告」され,しかも,配布したビラの内容が,被申立人としての具体的な反論を示すことすらなく「事実に反する」と断定され,挙げ句の果てには,申立人の解散を要求する書面が「警告書」との表題をもって自宅に送りつけられれば,それらを客観的に考察したときに,前田が申立人の結成や組合活動の継続を躊躇し,ひいては,被申立人からの報復を懸念して,それらの断念を余儀なくされることは容易に推認される。

小括

以上,被申立人が特定した限りにおいて,ビラの内容が真実であることを示した。これらの内容をもって,ビラが「一見して分派活動である」と評価することはできない。
そもそも,団交拒否下における労働組合の争議活動は,当然に使用者と厳しく対峙するものであるのだから,その内容が真実に基づくものである限り,使用者である被申立人や関口氏を非難する内容のビラの配布が組合活動としての正当性を失うことはない。
かかる正当な組合活動を中止することを要求する本件警告書の送付は,組合活動の中止を使用者が命令するものとして当然に支配介入の不当労働行為を構成する。
さらに,ビラの真偽とは関係なく,被申立人は,申立人の解散を直接的に命令し,また前田について事実無根の行為を理由として本件警告書を発したのである。これらは,申立人を威嚇し,動揺させる行為であるから,ここでも当然に支配介入の不当労働行為が成立する。

A氏の盗聴盗撮行為について

事実関係

本件の事実関係は,3月21日付救済申立書(3号関係)の4〜6頁に述べた通りである。
A氏の陳述書は真実に反する内容であるから,反証として前田の陳述書を提出する(甲33の1)。

主要事実の「訂正」はできない

A氏は,3月18日,前田に向けて「その所有するスマートフォンの録画機能をオンにして机上に置いていた」ところ,被申立人は上記を自白した(5月20日付「準備書面(1)」)。
A氏は,最新型のソニー製スマートフォンを所有するところ,スマートフォンの録画機能をオンにすれば,周囲の音声も収録される。
よって,A氏は,3月18日,申立人組合員である前田の会話が収録されるような態様で録音機器を設置,作動させた。
もっとも,被申立人は上記準備書面(1)を「訂正」したと主張するが,準備書面(1)は申立人にも到達しており,かかる事実は本案の不当労働行為の成否に関する主要事実であるところ,一方的に「訂正」することなどできない。
そのような主張立証活動が認められてしまえば,相手方の主張は,真実に関係なく,主張立証活動の時機を一切考慮せずに全部否認し,自らに不利な証拠が提出されるや「訂正」する“戦略”が,あらゆる場合において審査上有利となる。
上記が認められれば,相手方が反証を有していない限り,いかなる虚偽の主張も,その時機を問わず許されることになり,不当労働行為審査手続が準司法機関として有する真実発見機能が全面的に損なわれる。
以上のことから,被申立人による主要事実の「訂正」は,到底許容されるものではない。

「盗聴」の定義の如何を問わずA氏は盗聴行為をしていた

「盗聴」とは,社会通念上,「公開を望まない人の会話を密かに録取すること」をいう。被申立人の主張は独自の見解である。
もっとも,A氏は,前田との会話中であるか否かに関係なく,3月18日より「前から」(甲35の2),主としてICレコーダーを被申立人事務所の電話機付近に設置する方法によって,申立人の組合活動を盗聴,掌握していた。
A氏は,その“成果”として,A氏が参加していない3月14日のN氏と前田との会話を録取したのであるから,被申立人が定義する語義を採用したところで,A氏が盗聴行為に及んでいた事実は,微塵も揺らぐことがない。

A氏の申立人に対する盗聴は支配介入である

そもそも,A氏の行為が「盗聴」であるか否かは,それ自体としては本案の争点ではない。その名目が何であれ,使用者である関口氏が,第三者(A氏)を利用して,申立人の組合員である前田の活動を盗聴・盗撮するように命じ,それが実行に移された以上,当然に支配介入の不当労働行為を構成する。
被申立人は,関口氏が盗聴・盗撮を命じた動機について「被申立人とトラブルとなっていた」と主張する(準備書面(2)3頁)が,この「トラブル」とは,申立人の結成やビラ配りといった組合活動に他ならず,A氏への盗聴・盗撮の指令が組合監視目的であったことの自白と評価される。
また,3月18日前後,被申立人は,申立人に対して団交応諾義務がないとの独自の見解に固執し,申立人を「分派活動」と位置づけながら「警告書」(甲9)をもってその解散を命令したのに,その約1ヶ月後に突如団体交渉に応諾したことからも自明であるが,当時の被申立人は,前田の労働者性について誤った見解を盲信し,それを根拠とした“分派活動”潰しに躍起となっていたのである。
被申立人が指摘する「トラブル」は,もっぱら被申立人の誤った見解に原因がある。
要するに,被申立人は,申立人は労組法上保護されない“分派活動”であるという独自の見解に基づいて申立人の壊滅を企図していたところ,A氏に,その手段としての解雇や統制処分の材料を収集する活動の一環として録音・録画を命じた。そこで,A氏は,前田の同意を得ることなく,“録音・録画”行為を実行に移したのである。
その結果として,A氏は,組合事務所内に盗聴用のICレコーダーや録画機能がオンとなった状態のスマートフォンを設置するという盗聴・盗撮行為に及ぶことになった。

前田に盗聴行為を摘発された後も盗聴・盗撮を続けた可能性がある

かかる盗聴・盗撮行為の一部が前田に発覚したが故に失敗したとしても,前田は,複写機に戻り,業務を続ける必要があったので,その後のA氏の言動を逐一監視することはできなかった(甲33の1)。
そのため,3月18日の盗聴行為が,前田の指摘後,改めて再開されなかったという保証はどこにもない。
前田がA氏の盗聴行為に利用されたICレコーダーを検分したことは事実だが,SDカード等の記憶媒体を検査することはできなかったし,被申立人事務所には,それ以外にも3台ほど同機種のICレコーダーが設置されていた。A氏のスマートフォンやノートパソコンも,盗聴行為を再開するために利用可能であった。

A氏は「前から」盗聴・盗撮を命じられていた

3月18日,前田がA氏の盗聴行為を摘発した際の会話において,A氏は,「前から」盗聴を命じられていたと発言した(甲第35の2)。
この「前から」が具体的にいつであるかは不明だが,3月14日のN氏と前田との会話が関口氏に知られていた事実に照らせば,遅くともその頃までには,盗聴の指令があったものと考えられる。
このように,被申立人が主張するように,A氏による3月18日の盗聴・盗撮行為が前田の指摘によって頓挫し,当日中は盗聴を再開しなかったとしても,A氏は,3月18日より前から,申立人を監視する目的で被申立人事務所内を盗聴していたのである。

前田は3月18日の盗聴行為の時点で権利停止処分を受けていなかった

被申立人が主張する「権利停止処分」は,被申立人規約に関係なく,関口氏が一方的に指名した自称「執行委員会」が不当に実施したに過ぎない無効なものであるが,然らずとも,前田が「権利停止処分」を受けたとする通知を関口氏から受信したのは,同日の13時40分のことであった(甲11)。
前田が事務所内に立入り,A氏が盗聴・盗撮行為に及んだのは,同日の11時から12時頃の出来事である。
したがって,被申立人の主張を前提としても,前田の立入が問題になることはあり得ない。

A氏は被申立人から報酬を受けていた

A氏は,かつては被申立人の「一般組合員」であったが,遅くとも3月頃にはタイムカードを所持打刻するようになり,盗聴・盗撮行為を含む申立人への組合潰しに加担するようになった(甲34)。
被申立人において,タイムカードを所持打刻するのは,A氏以外には,関口氏とBことB’氏,佐藤氏といった職制専従者だけである。
タイムカードは,一般に対象者の労働時間を客観的に把握する目的で使用されるものであるところ,A氏がタイムカードを所持打刻している事実は,被申立人とA氏との間に指揮命令関係が存在し,申立人に対する組合監視目的での盗聴行為に従事している時間に対して,被申立人から何らかの報酬が支払われていた事実を裏付ける。

不当労働行為意思

不当労働行為意思に関する通説及び判例,関口氏が申立人を嫌悪していた事実は上記1―ハで既に指摘したが,申立人を結成したことを理由又は契機として,申立人組合員が勤務する事業所内に録音・録画機器を設置,作動させてそのあらゆる挙動が録取可能な状態に置かれ,それらの盗聴・盗撮によって取得されたデータが実際に被申立人の手に渡るとすれば,それらを客観的に考察したときに,勤務時間の内外を問わず,申立人の組合活動が困難又は不可能になる虞があることは当然に認められる。

小括

以上要するに,それが「盗聴」に該当するか否かに関係なく,関口氏は,被申立人の代表者として㈠申立人の組合活動を「トラブル」と位置づけ,㈡3月18日より「前から」A氏に「録音・録画」を指令し,㈢A氏は,実際に申立人の活動を盗聴・盗撮した。
その一部が前田に摘発され,結果としては頓挫していたとしても,その前後も盗聴・盗撮が可能な状況が存在し,実際に盗聴・盗撮行為が再開されていた可能性が否めないのであるから,使用者による組合監視活動として当然に支配介入を構成する。
然らずとしても,被申立人は申立人組合員である前田に対する盗聴・盗撮行為を,被申立人の意のままに動く職制のA氏に指令したこと,それを受けてA氏がスマートフォンの録画機能をオンにした事実は揺るがないから,そのような組合監視活動を今後繰り返してはならない旨の命令を発出する利益は失われない。

権利停止処分について

ビラ配布行為の正当性及び内容の真実性

ビラの配布が申立人の正当な組合活動であること及びその内容が真実であることは,上記「3 『警告書(甲9)』の送付について」をもって指摘した。

「分派活動」であるか否かは争点に無関係である

被申立人は,申立人の活動を「分派活動」と位置づけて縷々非難する。
しかし,被申立人において正当に権利停止処分が可能であるのは,規約(乙1)第7条の一に該当する場合に限られており,そこに「分派活動」をすることや,「派閥を結成すること」は含まれない。
被申立人は,第7条(2)及び(3)を処分理由とする「制裁の通知」(甲11)の内容に基づき,申立人や前田の活動が被申立人の「統制・秩序」又は「組合活動」を乱した具体的な事情について主張,立証すべきである。
もっとも,申立人の活動に関係なく,被申立人では,平常通りの争議活動等が営まれており,3月18日までの間に,申立人や前田のためにそれらが「乱された」事実はない。

労働組合の結成を禁止する規約は無効である

被申立人に勤務する労働者が労働組合を結成し,団体交渉を申し入れたとしても,それだけで被申立人の運営が乱されることは考えられない。
しかし,被申立人が主張するように,申立人を結成すると,それだけで直ちに被申立人の「統制や秩序」「組合活動」が乱されるとしても,それをもって被申立人のアルバイトである前田の団結権やビラ配り等の団体行動権を奪うことができないことは,「3―ヘ ビラの内容と関係なく本件警告書の送付は不当労働行為である』」で論じた通りである。

処分の必要性はなかった

申立人では,被申立人からビラの内容が事実と異なるとの抗議があったので,「回答書」(甲10)を差し入れて記載内容の真実性を具体的に説明しながら,内容に関する協議のために3月21日までビラを配付しないことを確約し,ビラの如何なる部分が事実に反するかの特定を求めていた。
そのため,3月18日までの間に,被申立人の執行委員を除く一般組合員に配布されたビラの枚数は,わずかに5枚であった。

3月18日以降の申立人の活動が統制処分の理由にならないこと

被申立人は,3月18日以降の申立人のブログやツイッターの投稿記事を根拠として,申立人の活動が「労働組合を結成することを借りて開始した分派活動」であると主張するようである(準備書面(1)16頁)。
しかし,本案における争点は,あくまでも,㈠前田が3月18日の時点で統制処分の理由に該当する行為をしていたか否か,㈡前田に対する処分が被申立人の組合嫌悪意思に基づくものであるか否かである。
被申立人による申立人のブログ・ツイッターに関する主張は,いずれも被申立人の憶測に基づく言いがかりであるが,懲戒解雇に相当する統制処分後の行動を理由として統制処分の正当性を説明することはできないから,結論において失当である。

不当労働行為意思

不当労働行為意思に関する通説及び判例,関口氏が申立人を嫌悪していた事実は上記1―ハで既に指摘したが,申立人を結成したことを理由又は契機として「権利停止処分」と称して職場から排除され,アルバイト労働者であるのに休業手当どころか解雇予告手当すら支給されず,事実上の懲戒解雇として取り扱われた場合は,それらを客観的に考察したときに,それ自体が未組織労働者をして申立人への加入を躊躇又は断念させるだけでなく,申立人代表者である前田に経済的な打撃を与えることをもって申立人の活動を断念させる虞があることは容易に推認される。

小括

以上要するに,被申立人が主張する「分派活動」とは,被申立人の規約にすら根拠がない印象操作のためのレトリックでしかない。前田は,被申立人の規約に照らして権利停止処分にされなければならないような行為を何ひとつ実施していないのである。
被申立人が,処分の時点において前田の労働者性について誤った見解に固執し,申立人との団体交渉を拒否していた事実に照らせば,被申立人による「権利停止処分」が,組合潰しを目的とする支配介入として不当労働行為を構成することは自明である。

「警告書」(甲17,以下「3・27警告書」)の送付について

申立人のブログ及びツイッターは正当な組合活動である

労働組合の情宣活動が使用者や職制の名誉を毀損するとしても,真実の歪曲や私事暴露などの個人攻撃に及ばない限度で正当な組合活動と評価されることは,既に上記「3 『警告書(甲9)』の送付について」で指摘したとおりである。

被申立人は「事実と異なる」投稿記事を何ら具体的に摘示しない

そこで,被申立人の名誉を毀損するに過ぎない申立人の投稿記事が問題になることはないので,「事実と異なる」投稿記事の有無について検討すべきところ,被申立人は,3・27警告書において「あえて細かく全てを示しませんが」と述べ,事実と異なるという申立人の投稿記事を結局は一切特定しなかった。
しかるに,準備書面(3)における被申立人の主張を踏まえ,5月20日付準備書面(1)の12頁以下を参照しても,そこで指摘されている投稿記事(「Bに対する批判」「B’に対する批判」「組合員Oに対する批判」「武内に対する批判」)は,いずれも3月28日以降の投稿記事であって,3・27警告書の送付以前の投稿記事は何ひとつ特定されていない。
このように,被申立人は,3月27日以前の投稿記事を,現在に至るも特定しないのであるから,3・27警告書が送付された時点の申立人のブログ又はツイッターには,被申立人について「事実と異なる」ことを摘示する投稿記事は存在していなかったと考えるしかない。

投稿記事の真実性

もっとも,被申立人が投稿記事を具体的に特定しないとはいえ,申立人の主張内容を取り上げて「虚偽事実」と非難し,「名誉・信用を毀損する」と主張したものがあるので,以下念のため説明する。

㈠「組合行動費」という名目であったとしても,使用従属関係に基づく労働の対価として支払われる金員であれば,当然に,賃金として「残業代」を発生させる(労基法11条)。
㈡その名目が何であれ,労働者の就労を拒否し,賃金を支払わない行為は外形的に解雇である。
㈢前田として録取されることを望まない会話を,前田の同意を得ることなく,事務所内に録音機や録画状態のスマートフォンを設置して記録する行為は「盗聴」であり,そのような状態の事務所に「セクマイ労働相談・セクハラの相談」が寄せられれば,それらも「秘密録音」されることになる。
㈣関口氏は,労働組合法及び被申立人規約に規定されているにも拘わらず,前田を含む申立人組合員に会計を公開したことは一度もない。

なお,申立人が「トップが私腹を肥やす」なる指摘をした事実はなく,この部分については被申立人の誤認である。
このように,被申立人が指摘した内容の申立人の見解はいずれも真実であるか,真実であると信ずるに相当の理由がある。
その余の指摘は,被申立人の誤認に基づくものである。

3・27警告書送付後の経緯

3・27警告書を受けて,申立人及び前田は,その日のうちに「勧告書」(甲36の1)及び「回答書」(甲36の2)を送付し,その文中で,申立人投稿記事の全体的な真実性について説明した上で,
「今後の協議を拒否する趣旨ではないので,本件表現の内容について異議がある場合は,細かく,具体的に認否を示しながらお申し出をいただければ,誠実に対話の機会を設けます。」
として,被申立人に協議を呼びかけた。ところが,被申立人からは,今日に至るも,本件について何らの連絡はない。

小括

以上要するに,被申立人が3・27警告書を送付した時点において,申立人に事実と異なる投稿記事は存在しなかった。
さらに,被申立人が具体的な投稿記事を指摘せずに「虚偽事実」等と非難した申立人の主張内容も,結局は真実であった。
3・27警告書を受けて,申立人は投稿記事についての具体的な協議を申し入れたのに,被申立人からは何ら回答がない。
以上によれば,被申立人が3・27警告書を送付した動機は,被申立人としての一応の合理的な見解をもとに投稿記事を特定し,その問題点について申立人に抗議することにあったのではなく,単に前田を威嚇し,「これらの削除等をすることを警告する。」と要求することで,結局は申立人の情宣活動を包括的に中止することを使用者として命令することにあったと言わざるをえない。
よって,被申立人が3・27警告書を前田に送付した行為は,当然に支配介入の不当労働行為を構成する。

被申立人の不誠実団交について

事実関係

令和元年5月22日,被申立人は申立人との第1回団体交渉に応じたが,その前提となる資料を何一つ提出しなかった。
そこで,申立人が団体交渉の席上でそれらの提出を求めたところ,被申立人は,団体交渉の1週間後である5月29日までに,それらを提出し又は提出することができない合理的な理由を回答すると確約した。
ところが,本日に至るも,被申立人から提出された資料はひとつもなく,その合理的な理由を説明する書面も来ていない。

小括

本案における団体交渉の協議事項は多数にのぼるが,例えば,被申立人が前田の労働者性を争うという以上,その唯一の労働契約書面である執行委員会議事録を協議上の資料として提出することは,交渉事項に対する誠実な説明の一環として不可欠である。
しかるに,それを客観的に合理的な理由なく提出しない行為は,不誠実交渉として不当労働行為を構成する。

求釈明に対する返答

不当労働行為の事実と構成要件

被申立人が申立人と申立人組合員に対して行った不当労働行為事実のうち,本案において救済命令を求める根拠とするものは,現時点で次のとおりである。

救済申立日行為の日概要類型
3.133.13申立人からの3月9日付の団体交渉申入を拒否した事実2,3号
3.153.9前田の中央フードサービス事件の残業代算出業務を不当に取り上げた事実3号
同上3.13前田の賃金等の支払時期を3週間不利益変更した事実1号,3号
同上3.14前田個人を名宛人として本件警告書(甲9)を送りつけた事実3号
3.213.14

3.18
被申立人の事務所内において,申立人及び前田を監視する目的で録音・録画機器を作動させた事実3号
同上3.9〜被申立人の事務所内において,申立人及び前田を監視する目的で,録音機器を設置した事実3号
同上3.18申立人を結成したこと及びその組合活動を理由として前田を統制処分に付した事実1号,3号
同上同上前田の社会的評価を低下させる表現を使用しながら上記統制処分を被申立人内で喧伝した事実3号
3.283.27前田個人を名宛人として3・27警告書を送りつけた事実3号
3.293.25申立人からの3月18日付団体交渉申入を拒否した事実2号
6.55.22申立人との団体交渉に不可欠な資料を申立人に提出しない事実2号
同上5.22申立人との団体交渉に不可欠な書面回答を正当な理由なく怠り又は書面回答を作成していたのにあえて申立人に交付せず,結果として団体交渉の協議を不充分ならしめた事実2号
同上5.22申立人との団体交渉において,書証の全文を読み上げる,又は申立人に義務のない通称・偽名の使用を強要する,申立人が文書の全文を読み上げなければ被申立人が作成した文書を特定できないと主張する,書面回答が可能であった内容の全部を交渉の席上音読する等の手法で不当に団体交渉の時間を空費させた事実2号
同上5.295月22日の団体交渉における申立人との約定を反故にし,申立人に対して団体交渉における協議の前提となる書証を提出せず又は提出することができない理由を説明しなかった事実2号
同上4.6申立人及び前田を中傷するビラを被申立人関係者や報道機関等に約500枚郵送した事実3号
同上4.6
〜現在
申立人及び前田を中傷する投稿記事を被申立人のブログ,Facebook,ツイッターに掲載している事実3号
同上4.12
〜現在
前田に対する事実上の懲戒解雇通知書(甲11)を被申立人が入居するビルの入口に掲出した事実3号
同上5.27申立人のブログの投稿記事の削除を求める仮処分申請を,被申立人が費用を全部負担して役員であるBことB’氏をけしかけ,前田個人のみを相手方として提起させた事実3号
7.195.27申立人のブログの投稿記事の削除を求める仮処分申請を,被申立人が費用を全部負担して職制者であるA氏をけしかけ,前田個人のみを相手方として提起させた事実3号
同上7.4申立人のブログを理由として,前田個人並びに申立人に対して,到底認容される見込がないことを知りながら,500万円もの金銭を要求する恫喝的な損害賠償請求訴訟(SLAPP訴訟)を提起した事実3号
同上7.18被申立人のウェブサイト,メーリングリスト,ツイッター,フェイスブックを利用し,事実無根の風評をもって申立人及び前田を誹謗中傷した事実3号

※日付は,いずれも平成31年/令和元年である。
※各事実の構成要件該当性については,各申立書及び上記「第2」で主張した。

不当労働行為意思

不当労働行為意思に関する通説及び判例,関口氏が申立人を嫌悪していた事実は上記第1―1―ハで既に指摘した。
個々の不当労働行為事実に対する判例,通説による基準の当てはめは,上記「第2」のうち支配介入を主張する部分で個別に主張した。

書証に対する認否

被申立人が提出した5月20日付証拠説明書の乙4ないし乙11の作成者は前田ではないので否認する。
乙4ないし乙11は,申立人の機関決定に基づき,申立人内部での協議に基づいて執筆された申立人の投稿記事である。

以 上

[1] カレンダー(甲29)に「休」の記載がない日数をいう。
[2] 出勤日とは,争議活動をした日を除く,被申立人の事務処理をするために勤務した日のことをいう。
[3] 2月8日,9日,14日,21日,16日(2月の執行委員会は慣例通り第二土曜日に開催された)。
[4] 2月6日,8日,9日,14日,17日,24日,26日,16日(2月の執行委員会は慣例通り第二土曜日に開催された)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)