タイミートラベルを利用したら組合に入って給料を利息付きで回収しましょう!!(株式会社タイミー・小川嶺社長)

今日、こんな記事を朝から目撃して、大変驚きました。

「働きながら実質無料で旅行できる」、タイミーが新サービス

なんと、就労希望者と農家を「マッチング」することで、「働きながら実質無料の旅行」を実現するというサービスですが、よく読むと、その実態は「貧困ビジネス」と指摘されても仕方がない内容です。

「タイミートラベル」というのは、労働者がアプリに登録し、使用者が提示した案件に応募することで、事前の面接なくして「直接雇用」で使用者に就労することができ、就労先までの交通費はタイミー社が支給するというもの。

このアプリに出展する使用者は、大部分が地方の観光地の旅館業者や農家なので、そこにタイミー社の負担で赴き、就労することが「働きながら実質無料で旅行」ということになるそうです。

しかし、実際には、笑っちゃうほどまっ黒黒助のブラックバイトかも知れません。

タイミートラベルでの就労は労働!!労基法も適用されます!!

労働基準法 第24条
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

大前提として、労働者には、ごく一部の例外を除いて、少なくとも最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。さらに、その賃金は、原則として、全額を、通貨で、労働者に直接支払うものとされています。

タイミー社の公式Q&Aによれば、

タイミートラベルは交通費支給型の住み込みバイトです。
全国各地さまざまな受け入れ先をご用意しておりますのでぜひご応募ください。

(タイミートラベルは)旅行サービスではございません。
タイミートラベルは交通費支給型の住み込みバイトであり、働きながら旅気分を味わえるワークシェアリングサービスです。

ということなので、タイミートラベル=労働、というところまでは間違いなさそうです。

宿泊場所は選べません!! タコ部屋としか思えないタイミートラベル労働

面白いのはここから。

参加者の方には受け入れ先にて住み込みバイトをしていただきます。
その対価として、 受け入れ先での食費や宿泊費等が無料になる仕組みになっております。

先ほどの労基法の紹介で、賃金は、全額、通貨で支払われなければならない(通貨=日本円、限界まで言い訳しても電子マネーとか?)と申しましたが、タイミートラベルでは、なぜか、労働の対価が「食費や宿泊費」というサービスになっています。賃金で一旦支払って、そこから自主的に食費や宿泊費を購入するのではありません。

つまり、休日に少し外泊する予定があったり、より住環境の良いホテルに泊まりたかったり、食べ物を持ち込んだり、もらったり、他で安く購入するという選択肢はなく、使用者が一方的に提供してくる食事や宿を否応なしに買い取らされることになります。

宿泊する場所を選ぶことはできますか?
宿泊する場所に関しては、受け入れ先が指定した宿泊施設になります。あらかじめご了承ください。

要するに「タコ部屋」ですよね。これが「旅行」って、相当頭のネジが飛んでいるとしか……

中学生の頃流行った漫画を思い出しました。この食費と施設利用料も、タコ部屋ゆえに買わないという選択肢がないものですよね。

タイミートラベルの給与は滞在費と相殺!?24条違反の賃金全額控除!!

そこで、給与が出るのか出ないのか探してみると、ありました。

給料の支払いはありますか

給料の支払いはございません。トラベル期間中に労働した対価がトラベル期間の滞在費に当てられます。給料の支払いはありますか

……

日経新聞の表現を借りると、「賃金は現地での滞在費と相殺されて「0円」になる」そうです。

労働の対価が食事や宿なのと、賃金と滞在費の相殺では法的意味が異なりますが、労基法はこういうのも想定済で、「全額払い」の原則を定めています。全額払いというのは、賃金からは租税以外は何も差し引くことなく、全額を支払わなければならない、という意味です。

もっとも、賃金控除協定という協定が職場で成立していれば、一定の範囲では天引きが可能です。社食費などの天引きは、見たことがある方も多いと思います。

しかし、タイミートラベルの天引きは、恐るべき賃金全額の相殺。賃金控除協定もなさそうですが、賃金控除協定があれば可能かというと、もちろん不可能です。

民法・民事執行法の規定により、交通費と諸税を除いた賃金の4分の1までしか天引きできません。

「社長を守る会」なんていう鼻持ちならない活動をしている経営側の社会保険労務士のウェブサイトにさえ書いてあります。タイミートラベルの就労先で登場しそうな福島県のウェブサイトにもありますよ。

初歩の初歩ですよね。

この「ITベンチャー」では、グーグルで検索するということはしないのでしょうか……?

罰金or強制労働!!タイミートラベル損害賠償予定条項の恐怖!!

しかも、このタイミートラベル、一度労働契約を結んでしまうと、強制労働になるみたいです。

労基法16条は、損害賠償予定の禁止を定めているのですが、これは、労働契約の不履行にあたって、違約金や損害賠償金の予定を定めてはいけないという意味です。

ところが、タイミートラベルでは、

参加が確定してからキャンセルをしたいのですが、キャンセル料はかかりますか?
トラベル参加が確定前のキャンセルは可能ですが、トラベル参加確定以降のキャンセルの場合、利用規約に則り、トラベルにおける交通費往復分の代金をお支払いただきますので、ご了承下さい。

ということで、労働契約を不履行すると、利用規約という契約(約款)に基づき、往復交通費相当分の損害賠償金を取られます。

こんな契約が労基法違反で無効であることは、明らかです。

タイミートラベルは、記事によれば「20代が最も多く、全体的に女性が多い」といいますが、20代の女性にとって、往復の交通費って相当重いですよね。

東京から北海道の農場に就労する場合は、往復の飛行機代で10万円弱というケースもあると思います。

どんな事情があっても、働くことができなければ罰金!!

タイミートラベル以外では、一部の性風俗業や飲食業にしかないレベルの、前時代的な違法契約です。

やっぱり労働者はモノ扱い!!繁忙期ぐらい景気よく時給を上げろ!!

こんなアウト中のアウトでしかないサービスがどうして出てきたかというと、やっぱり「人手不足の解消」ということになるみたいです。

オンラインマルシェ「食べチョク」を運営するビビッドガーデン代表取締役の秋元里奈氏は、「全国500の農家と提携しているが、人手不足は深刻だ。リンゴの収穫期など、地域から一気に人材が不足して時給が高騰している。東京から人を連れてくる需要はある」「全国500の農家と提携しているが、人手不足は深刻だ。リンゴの収穫期など、地域から一気に人材が不足して時給が高騰している。東京から人を連れてくる需要はある」

(記事から引用)

ここで関係者の本心があっさりと吐露されます。

「旅行」のはずが、キャンセルしたら損害賠償金の強制労働で、「東京から人を連れてくる」ことが真の動機。

経営者の考えることなんか大体同じです。賃金を上げても人が集まらないと簡単に言いますが、統計的には、労働分配率も実質所得も下がりまくっています。モノの値段の方が勢いよく上がっているんです。

ウソだと思うなら、タイミートラベルに出展している使用者は、時給3000円で募集をかけてみてください。

すぐに応募が殺到すると思いますよ。

3000円と聞けば高いと思うでしょうが、年収換算にしてたったの560万円。

一昔前ならありふれた水準です。

繁忙期ぐらい、それぐらい出しては如何でしょうか。ちなみに、これでも、農家の平均年収を下回ります。

タイミートラベルを利用して賃金を収穫しよう!!

そんなタイミートラベルですが、私たちが、タイミートラベルのボイコットを呼びかけていると思ったら大間違いです。

むしろ、積極的に利用して欲しいです。それで、利用したら、一切のメール・書類と労働時間の記録(これも残業代レコーダーなどの、アプリで記録できます)を持参して、DMUに駆け込んでください。

勤務地「志賀高原ホテル」、自由時間は「仕事以外の時間」。これは休憩時間あるかも分かりません。 食事・宿泊費・交通費は無料なのに、なぜ賃金と「相殺」されるのでしょうか……?

損害賠償を請求されるケースではこれをチャラにしてもらい、既に労働し終わったケースでは、賃金をまるごと要求できます。

例えば、北海道であれば861円の最低賃金ですので、1日8時間を1週間働いた場合は、48,216円+14.6%の遅延利息を回収できます。

上のスライドのケースでは、「食事・宿泊費・交通費は無料」なので、賃金と相殺されているはずがありません。当然ながら、残業があった場合や、忙しいとかで休憩が取れなかった場合は、その分も割増賃金で請求できます。

そういうわけで、万が一タイミートラベルで違法に働いてしまった場合は、残業代をしっかりと回収しましょう。他人の農産物より、自らの賃金を収穫しましょう。

宿泊場所も食事も選べない「旅行」なんかでなく、タイミートラベルから収穫した賃金で、好きな人と好きな場所に行って、好きなものを食べましょう。

損害賠償金が怖くてキャンセルできない・帰れないという方も、気軽にお問い合わせください。

住み込み型のアルバイトでは、航海中の船と同様の閉鎖空間になることから、暴力やセクハラが横行しがちになります。

TwitterのDMメールでご連絡いただければ、即時に対応します。

明日から、出勤しなくても大丈夫です。

働いた分の賃金、しっかり払ってもらいましょう!!

タイミートラベルの経営陣ら。まだ若いんだから、もっと真っ当な商売をして欲しいですが……

タイミートラベルを利用し、団交を申し入れられたり労基署が来たりしてしまった使用者の方へ

プレカリアートユニオン事件で、代理人弁護士として「アルバイトは労働者ではない」という主張を繰り広げている嶋﨑量中村優介竹村和也弁護士に、一刻も早く相談しましょう。生意気なアルバイトから本人訴訟を起こされても大丈夫ですよ。

タイミートラベルを利用している疑いが強い企業

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