ロサンゼルスで労働問題の調査と行動計画・組織化に取り組む、日本にはない民間組織LAANE(LosAngelsAllianceforNewEconomy)

ロサンゼルスで労働問題の調査と行動計画・組織化に取り組む、日本にはない民間組織LAANE(LosAngelsAllianceforNewEconomy)

清水直子(プレカリアートユニオン執行委員長)

 

2019年2月6日に訪問した。対応してくれたのは、調査責任者のジヨンさん、ディレクタ一のビクターさん、組織化担当のネルソンさん。

LAANEは、1992年に当時のHERE(現在はUNITEと合併してUNITE一HERE)という労働組合によって設立された組織。設立から26年になる。

最近では、教職員組合のストライキを支援。メディアやSNSへ情報発信したり、学区の保護者とのミーティングを行ったり、教育長と金融界との関わりを告発したり、教育行政への政策提言などを展開した。スタッフ全員が、ピケットに参加して直接行動も行った。

最低賃金を15ドルに引き上げる(「Fightfor$15J)運動やホテル労働者の労働条件改善キャンペーンなどにも深く関わっている。LAANEは調査研究機関(シンクタンク)であり、その結果を政策立案、政策実現のためのキャンペーンの強化・組織化、労働組合とコミュニティ組織との連携に活かす行動(アタト)も組織活動の一環としている。

LAANEの調査研究は組織化に特イ匕したもの。LAANEが1992年に設立された当時、ロサンゼルス市の政治状況を問題だと思う入はいたが、変化を起こすための連帯が欠けていた。コミュニティオーガナイザー、移民問題の活動家など、パラバラに活動していた人をひとつの傘の下にまとめることに力点が置かれた。

1992年当時、コミュニティ・ベネフィット・アグリーメント、という考え方を広めた。公共事業における開発を行う場合、開発業者、土建会社だけに利益をもたらすのでなく、影響を受けるコミュニティの人(働いている人など)にも利益をもたらすものでなければならないという考え方。・活動を行うにあたって重視したのは、包括的アプローチ。

コミュニティオーガナイザー、リサーチヤー(研究者)、コミュニケーター(メディア担当)、ポリシーメーカー(政策担当)の4つが協力しながら取り組むアプローチを重視している。最低賃金を上げるとか、時間外手当てを払わせるという改善が最終目的ではなく、政策を変える、権力をとる、政権交代をすることを実現し、次の政策課題の実現をしやすくする、という次の闘いを見据えている。労働組合だけでは闘いに勝つことはできない。

産業で被害を受けている当事者が考え行動し、政策に反映させる必要がある。ただし、労働組合は自分たちの利益の追求に関心を持っているものなのでその外に関心を持つのは難しいが、例えば、教職員組合のストライキで教員が要求していたのは、給料を上げろということでなく、コモングッド、みんなのためになること。

例えば、学校のなかで警察が生徒の身体検査をするのをやめろといった政策変化を要求に掲げていた。LAANEは.コミュニティオーガニゼーシヨンと労働組合との架け橋。

労働組合は政治力を持つので、この2つが連帯することで公共の利益に资するような連合体を形成する。教職員組合のストライキでは、LAANEの教育チームは半分くらい寝ないそ活動していた。オーガナイザーの1人は、親御さんたちとの面談を常に、いたるところで行っていた。

コミュニケーターは、新聞などメディアと連携をとり、SNSに情報発信していた。学校区の教育委員会の教育長とウォールストリートとの関係を暴露するような調査研究も発表し、不正義に光を当てた。

調査研究で重要だったのはメガティブな面を指摘するだけではなく、変革をもたらすことで、どんなに前向きなことができるかを示し、提言も行う。コミュニティのなかでの理想的な学校がどうなるかをリポートを作成した。

LAANEの全スタッフがピケに参加して一緒に団体行動を行った。

労働組合は、個別の問題に取り組んでいる。日本で外の組織と橋渡しをし、社会的な活動に取り組むためにどうしたらよいか。LAANEを作ったのも労働組合のローカル11のUNITE—HERE。LAANEのような組織を作ることに前向きな労働組合を見つけるとよいのではないか。UNITE—HEREが資金、組織の態勢を確保する支援をしている。

ホテル産業の労働問題への取り組みから領域を広げていった。様々なコミュニティ・オーガニゼーシヨンとともに活動するなかで、活動の領域が広がった。現在では、7つの労働組合と協力しながら7つの領域のキャンペーンを並行して行っている。

最初の運動の一つは、リビングウェッジ(生活赁金)の実現だったが、そこの取り組みが一つの業界での取り組みではなかったので、領域が広がった。・活動資金の10%は労働組合からの寄付、20%は高所得者の個人からの寄付、残りの70%は様々な財団からの資金獲得。UNITE—HEREから得ているのは年間約440万円(約4万ドル)。

年間予算は4億円(3,900万ドル)。資金の多様化、バランスをとり、1箇所から得るのではなく、色々なところから資金を得て、特定の組織の影響を受けにくいようにしている。スタッフの給与水準は、一番安い初任給で5万5000ドル。スタッフは25人。前職は労働組合、コミュニティ・オーガナイザーなど。学歴は高卒から修士まで様々。

労働組合にとってLAANEと連携することは組織化につながっている。例えば、ロサンゼルスのロングビーチで、新しく建設されたホテル労働者の組織化が遅れていた。

LAANEが、明確なゴールを定め、戦略を立て、計測可能な指標で、宗教団体、環境団体、労働組合をっないでも綿密な計画を立て、8万6000人に訪問し、7万2000人に電話をかけ、1500人のマンパワーを使って、周辺のコミュニティへの資金提供を実現し労働組合の組織化に取り組んだぶまるでUNITEーHEREのスタッフであるかのように動いていた。

UNITE—HEREは、新興のホテルで、カードチェック、組織化に取り組んで交渉権を獲得しようとしている。今までは、労働組合と使用者だけで交渉権の獲得をしようとしていた。LAANEが違うのは、コミュニティ、地域の関係者を巻き込み、圧力をかけていく。労働組合は労働組合として交渉している。

LAANEは外の組織と連携して同じ要求を突きつけ、プレッシャーは2倍にある。周辺の住民がなぜ、ホテルにプレッシャーを与えられるか。ホテルだけで新しいホテルを建設できるわけではなく補助金を受け取っていたり、地域の水道を使ったり、環境基準をクリアしなければならず、地域との調整が必要で、調整に失敗すれば開発できない。それが交渉のツールになる。

ロングビーチの町では、経済格差が激しく、家賃が払えず追い出される世帯が存在する。そのなかで、ホテル業者に開発をしたければ地元に雇用創出のための資金提供をするよう求めるなどして、経済格差を改善することができる。

明確なゴールを定め、計画は、何人の人を対象にし、逆算して、かなり細かく計画を立てる。何ヶ月も準備し、何月何日には何人のボランティアが何件訪問するなど、行動の計画を立てる。

彼のキャンペーンの場合、最初に労働組合と協力し、UCLAのレポートを出して、当事者の顔をはっきりさせ、その過程でキャンペーンの計画がはっきりする。最初にゴールを決めてそこから逆算して計画を立てる。ゴールは変わってはいけない。戦略があって、計測可能なベンチマーク(指標)がある。スタッフには有給もボランティアも両方いる。

日本のコミュニティ・ユニオンは、個別労働問題に取り組みながら、社会的な労働運動に取り組んでいる。LAANEの組織化のための調査研究、ゴールを設定して逆算して取り組む指標を定める戦略的キャンペーンの取り組み、コミュニティの問題解決に取り組み労働組合の組織化につながる点など、学ぶところが大きい。どうしたら日本でもLAANEのような活動が実現するのか。

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