弊DMU労働労務相談所(東京都板橋区、所長宮城史門、以下「弊所」といいます。)は、令和4年8月12日、プレカリアートユニオン(東京都新宿区、代表権について係争中、以下「ユニオン」といいます。)に対し、弊所代表を平成31年3月18日に権利停止処分と称して解雇した件についての団体交渉を申し入れました。
従前の経緯
プレカリアートユニオン解雇事件の概要
本件については、弊所代表が、ユニオンのアルバイトとしての労働条件についてユニオンと協議する目的で、平成31年3月2日にデモクラティック・ユニオン(現DMU総合研究所、以下「旧DMU」といいます。)を設立したところ、そのビラを、同3月11日から3月12日の2日間にかけて、ユニオンの役員以外の者4名に対し配付したことが、ユニオンの組合活動ないし秩序を乱したとして、権利停止処分と称し事実上解雇されました。
しかしながら、この解雇については、当該解雇を決めた同3月17日の執行委員会において、複数のユニオンの執行委員が「解任」であると発言し、契約関係があったことを認めており、令和4年7月29日に東京都労働委員会において開催された審問において、執行委員長を名乗る清水直子こと関口直子氏(以下「直子氏」といいます。)が説明したような「ボランティアのような無償の助け合い」ではなく、雇用契約もしくは準委任契約に基づく労働であったことは明らかです。そして、雇用契約であろうと準委任契約であろうと、労働組合法上の労働者であることには変わりありません。
弊所としては、労働者の味方であるはずのユニオンが、自身が雇用する労働者を、わずか4枚のビラを配付したということだけを理由として、その生活の混乱を省みずに突然解雇するという非人道性に大変強い懸念を覚えます。
ところが、前記の執行委員会では、執行委員の女性が、「仮に、何らかの救済命令が出たり、敗訴したりするリスクがあるとしても、とにかく除名処分を前提に権利停止処分にした方が良い」という趣旨の発言をしていたことも明らかになっています。
自らの組合員が解雇されると、「解雇は労働者の生活を破壊します」などとして、判決で解雇の有効が確定しているのに(同情を誘う作戦でしょうか)不当解雇を主張し続けるにもかかわらず、自らが労働者を解雇する場合には、裁判で負けるリスクを加味してでも解雇を強行しようとするプレカリアートユニオンの矛盾には強い違和感を覚えます。
旧DMUでの団体交渉との関係性
本件については、旧DMUにおいて、団体交渉等の対応をしてきたところでした。しかし、旧DMUにおいては、その結成直後より、一部の会員が架空の情報、流言飛語等に惑わされ、次々と趣旨不明のトラブルを起こすという問題がありました。
そのようなトラブルを起こすことで当該会員にどのようなメリットがあるのかも不明であることから、何らかの取引、交渉、若しくは話し合いで解決できる性質のものではなく、また、対話をしても、対話の中で決まった約束をすぐに反故にし、あるいは、その対話の内容について歪曲した別のデマを多数の関係者に流すなど、話をすればするほどトラブルが複雑化し、巻き込まれる者が増えていく傾向にあったため、ある種の妄想性障害の症状などの精神病理の表出であると判断せざるを得ませんでした。
また、そのようなトラブルを起こした者、トラブルに呼応してデマや流言飛語に従った行動を起こし、人の迷惑を省みずに混乱を招いた者の大部分は、平成31年4月18日以降に、旧DMUからの勧誘を受けたわけでもないのに、プレカリアートユニオンを脱退等し旧DMUに加入したいと自ら申し出て旧DMUに加入した者であったことから、これらのことを反省し、弊所では、ユニオン出身者の入会については大変慎重に判断していることを申し添えます。
旧DMUでは、その対応に相当の費用と工数を要していたことに加え、そのような者に会員の情報が渡り、根拠不明のデマや妄想に立脚した「問題提起」や「組合民主主義」と称する自己主張によって団体交渉による労働問題の解決が妨害されることや、会員の私生活、職業生活の平穏や秘密が脅かされることを避けるため、令和4年3月以降、団体交渉については、原則として、そのようなトラブルを起こす者以外の会員と新規参加者により新設した団体である弊所において対応することとしていました。
弊所による調査と新証拠の発見
したがって、プレカリアートユニオン事件に関しても、令和4年3月以降は、弊所において対応方を検討していたところでしたが、今般、プレカリアートユニオン自身が、①平成26年5月に、港区新橋において「ネイルFSQ」と称するネイルサロンを共同経営していた人物が労働者であるとしてユニオンへの加入を認めたこと、②平成27年11月12日に、株式会社ケイソー(千葉県柏市)と業務委託契約を締結し、本人も業務委託であると認識した上で、⑴勤務時間について報告はおろか記録も存在しないなど一切管理されておらず、⑵団体損害保険に運送業者として自ら加入して保険料を負担し、⑶トラック等の機材も持ち込みで、⑷報酬は特定のルートを運送した回数に応じて決まり、⑸消費税の支払いも受けていた請負業者の個人を、やはり労働者であるとしてユニオンに加入させたことを疑わせる確からしい証拠を入手しました。
また、ユニオンの執行委員長を名乗っている直子氏は、前記②のケイソー社に対して平成28年8月26日に送付した団体交渉申入書において、上記⑴〜⑸の事実を知りながら、「実態は雇用」であると明記していた事実が判明しています。
直子氏は、前記の審問においても、「バイトとは言ったが雇用ではない」という趣旨の答弁を繰り返していましたが、直子氏自身が労働者あるいは雇用であると認めた上記の2例と比較すれば、プレカリアートユニオンのアルバイトが労働者であることは明々白々であるので、団体交渉の場においてこれらの件について詳細な説明を求め、解雇の撤回及びバックペイの支払を実現するべく、再度の団体交渉申入に及びました。
本件の争点
本件では、ユニオンあるいは直子氏自身が労働者であり雇用であると認めたと考えられるネイルFSQの共同経営者、そしてケイソーの請負業者の個人との比較において、なぜ、プレカリアートユニオンのアルバイトは労働者でもなければ雇用でもないということができるのか、詳細な説明をユニオン側に求めて参ります。
さらに、そもそも、本件では、平成31年3月10日から12日にかけて4枚のビラを配付したことが解雇の理由になっていますが、そのビラを入手したユニオン組合員の陳述書は既にユニオン側から証拠提出されております。その内容を見ても、ユニオンの「統制・秩序が乱れた」「組合活動が乱れた」様子は一切読み取れないため、ユニオン自身の主張を前提としても解雇には理由がないと思われるところです。この点についても、厳しく追及して参ります。
結語
法律学の世界では、一般的に、クリーンハンズの原則というものが常識として共有されているものと存じます。
プレカリアートユニオンが、多数の会社に対し不当解雇の撤回や労働条件の不満等をさけび、その要求を達成する目的で街宣車を乗り回していることは周知の事実であると思われますが、そのように他者が経営する会社を批判し、正義を語る以上は、プレカリアートユニオン自身も、法倫理とコンプライアンスに基づいた運営をする責任があるということは、前記クリーンハンズの原則に照らせば当然のことといえます。
弊所としては、そのような当然のことが当然に実現される社会こそが、人々にとって真実に暮らしやすい社会であると考えますので、本件についても、ユニオン側に対し、みずから「実態は雇用」と言ったケイソーの請負業者の個人と同様に、ユニオンのアルバイトについても雇用と認めていただくよう、交渉を進めて参ります。
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