プレカリアートユニオンによる一部投稿記事について(令和2年7月4日)

令和2年7月2日、当組合及び組合員(以下、当組合ら)と不当労働行為調査事件及び東京地方裁判所に係属する複数の事件で争っているプレカリアートユニオンあるいは清水直子氏(以下、清水氏ら)から、「DMUと前田史門氏らによるデマと名誉毀損について 背景には困難な仲間による過剰な居場所化も」と題する投稿記事の公表及び各媒体での一斉送信行為がありました。

これについて、事実と異なる内容が多数含まれていることから、その重要な部分について、簡潔に当組合の見解を示すものです。

プレカリアートユニオンと当組合前田との間で業務委託契約の事実がないこと

清水直子氏は、当組合代表者の前田との間で、「そのつどの業務委託」の契約を結んでおり、雇用関係にはなかったと主張しています。

しかし、前田がプレカリアートユニオンのアルバイトであり、多くの事件を担当する「担当職員」でもあったことは、当時活動していた組合員の誰もが知っている動かしがたい事実です。そもそも、賃金の決定方法は時給制(1000円〜1500円)であり、「個別の委託業務」に対して、仕事ごとに支給されたことは一度もありませんでした。

これを裏付ける証拠は多数存在し、他ならぬ清水氏自身も、「アルバイトの前田さん」として、前田を名指しする電子メールを送信したことがあります。

前田が担当職員として作成・送付した団体交渉申入書(ホンダカーズ東京事件)

清水直子氏自身が、前田を「アルバイトをお願いしている組合員」であると表明した執行委員会宛電子メール

以上によれば、プレカリアートユニオンのアルバイトである前田(及び組合員T)は、当然ながらプレカリアートユニオンと雇用関係にあるといえます。当時、執行委員を務めていた特定社会保険労務士の太田美紀氏も、「労働者としての権利を言ってくる」「敗訴すれば損害が大きい」として、前田らを雇用していることを前提とする発言を繰り返しています。

他方で、清水氏らが主張する「業務委託」の契約を裏付ける証拠(業務委託契約書など)は、清水氏らの主張を前提とすれば「その都度」存在するはずなのに、一通も存在していません。

清水氏らは、労働組合でありながら、アルバイトは労働者ではない、「プレカリアートユニオン(の従業員)に労働者はひとりもいない」と開き直り、他方ではフルタイムの者だけを社会保険・厚生年金に加入させ、毎年200万円以上ものボーナスを支払うという非正規差別が労働組合全体の信用を低下させていることを自覚するべきです。

また、前田が担当していた業務を無償で行う組合員が存在することが労働者性を否定する理由になるという主張も見受けられますが、例えば、東京オリンピックにおいて交通整理の仕事で働く警備員がいる一方で、ボランティア活動の一環として交通整理を行うボランティアスタッフがいるのと同じことで、同じ業務をするボランティアの存在が労働者性を否定することにはなりません。

プレカリアートユニオンが当組合との団交を拒否した理由が「複数の組合員の存在が確認できないこと」ではないこと

清水氏らは、当組合が申し入れた団体交渉を「複数の組合員の存在が確認できない」から拒否したと主張していますが、事実無根です。当組合が交付した団体交渉申入書に対して、清水氏が作成した「回答書」が残っています(3月13日付)。

平成31年3月13日/清水氏発「回答書」ダウンロード

これによれば、団交拒否の理由は、要するに「アルバイトは労働者ではない」という清水氏独自の法的見解であり、組合員の数については、一切言及されていません。なぜ、団交拒否の当時から1年以上が経過した今になって事実関係のすり替えをおこなうのか、理解に苦しみます。

当組合がプレカリアートユニオンに申し入れた団体交渉の内容が「役員への非難や専従職員の待遇引き下げ」ではないこと

当組合が、平成31年3月9日にプレカリアートユニオンに申し入れた団体交渉の要求事項は、次の通りです。

1. 当組合及び組合員に対し,不当労働行為を行なわないこと。既往の不当労働行為がある場合は,その被害を回復し,健全な労使関係を建設するため,必要な被害回復措置について協議・実施すること。
2. 前田が,貴組合との労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し,その労働条件を不利益に変更せず,引き続き交渉員として就労させること。労働契約の存否を争う場合は,上記に掲げた経緯を踏まえ,前田と貴組合との契約の性質について,根拠を挙げて具体的に説明すること。
3. 前田の労働条件が明記された唯一の資料として,平成30年6月及び11月の執行委員会議事録を提出すること。
4. 臨時総会を直ちに招集し,規約及び労働組合法に基づいて正当に選挙された代表者を選出すること。臨時総会にあたっては,前田を含む組合員の正当な選挙活動を認めること。
臨時総会の開催が団体交渉の日程に間に合わない場合は,速やかに,裁判所に対して,仮理事,一時代表理事,若しくは特別代理人の選任を請求すること。
5. 前田ほか,加入義務のある労働者を労働保険(労災保険・雇用保険)や年金等に加入させ,法定福利費を負担すること。
6. 有給休暇の取得を認め,取得日数に応じた有給手当を支給すること。業務の都合上時季指定を必要とするときは,当労組と協議すること。
7. 平成30年夏季及び冬季の一時金について,パートタイム労働法第9条に基づき,専従者に支給された一時金(平均賃金の1ヶ月分)と同水準の各一時金を,前田を含む全労働者に遡って支給すること。
8. 前田を含む全労働者の賃金について,消費増税を踏まえ,本年10月以降,1分9厘のベースアップをすること。貴組合の財政上必要であれば,役員報酬・賞与の返納やその他業務に直接関係がない外遊・研修費等の削減を前提として,賃下げを含む選択肢について協議すること。
9. 組合財産の非営利的性質を踏まえ,かつ,これを保全するため,夏季一時金を,役員及び全労働者について,平均賃金の0.05ヶ月分とすること。
10. 前掲二項の協議に必要であるから,その前提資料として,①前年度の貴組合貸借対照表・損益計算書・現金収支計算書②過去12ヶ月分の月次損益計算書③すべての費用科目に係る仕訳帳を提出すること。
会計基準などの事情から資料の名称が相違するときは,これらに相当する資料を提出すること。計算書類を作成することができない場合は,当組合が作成するので,総勘定元帳及び現金出納帳を提出すること。
また,今後は,組合の一切の会計資料について,組合員から要求があった場合,いつでも,これを閲覧させること。
11. 争議団会議・街宣活動・執行委員会について,労働として評価される活動であることを認め,全労働者に過去に遡って賃金を支払い,又は,労働者の私生活上の活動と評価できるような態様に実態を是正し,そこでの言動や参加状況を人事考課及び注意指導の根拠とすることをやめ,指揮監督下に置かないこと。
12. 前項の予備的要求として,ヤミ休暇が,任意活動に参加した専従者(フルタイム労働者)への恩恵として付与されている有給休暇として解する余地もあることから,パートタイム労働法第9条に基づいて差別を解消し,これを書記局アルバイトにも付与し,現在まで,違法にもこれを付与していなかったことに対する補償措置について協議・実施すること。
13. 清水氏が,平成30年中,自身は3回前後しか街宣活動に参加しなかった一方,前田はその20倍程度参加していることを知りながら,前田について,「組合を,なるべく安く利用しようとした。」と誹謗中傷したことについて,真摯に謝罪すること。又は,前掲発言の正当性について,具体的に釈明すること。
14. 清水氏が,前田を恐喝して負担させた弁護士費用の組合負担部分に係る立替金6300円は,不当利得金であるから,1月8日から支払済みまで年5分の遅延損害金を加算して,これを返還すること。また,恐喝行為について,真摯に謝罪すること。
15. 2月27日の清水氏によるパワーハラスメント・名誉毀損行為について真摯に謝罪し,又は,発言の正当性について,具体的に釈明すること。
16. 前掲三項のパワーハラスメント行為を踏まえ,今後同様の事案が発生しないよう,必要な措置について当組合と協議・実施すること。
17. 組合員であるN氏が,A事件に係る街宣活動につき,警察を介入させることや,メガホンを取り上げる等の有形力の行使を前提とした妨害行為を予告していることに鑑み,労働者を係る明白な危険を伴う業務に従事させず,参加する可能性のある一般組合員に対して,上記予告やその経緯を情報共有すること。
18. 前田のかつての職場である株式会社Hの事件に係る,貴組合ウェブサイト上の,「Hで不当解雇された学生アルバイト復職を実現。15分単位で切り捨てられた未払い賃金問題も解決」なる記載が,前田のプライバシーを本人の同意なく暴露し,強度の精神的苦痛を与えるものであって,かつ,H事件が,貴組合において公知の事実であるところ,職場環境を悪化させる原因となりうることに鑑み,「学生」「アルバイト」を含む記載を即刻削除すること。
19. 慣習上,全ての貴組合員が,その個人的な社会活動についてのビラ等を,事務所の邪魔にならない場所に掲示することが認められていることに鑑み,当労組のビラ等についても,2枚を限度として,事務所内に掲示することを妨げないこと。
20. 交渉の結果労使が合意した事項について,書面による労働協約を締結し,これに記名捺印すること。
21. 上記に附帯関連する一切の事項。

これらが、なぜ「役員への非難や専従職員の待遇引き下げ」になるのか、理解に苦しみます。

当組合らが「分派活動」を実施した事実がないこと

そもそも、清水氏らが主張する「分派活動」の定義は一切不明であり、プレカリアートユニオンの規約にも出現しない独自の概念です。そのことを念頭に語義を参照の上検討しても、当組合らが、なぜ、「分派活動」を実施したことになるのか、全く分かりません。

清水氏らは「自ら主張する「労働者」としての処遇改善を目的とするならば対象とならない、プレカリアートユニオンから行動費を受け取っていない一般の組合員に、組織を批判するために組合に加入するよう勧誘活動を行ったこと」が分派活動であると主張していますが、労働組合は、組合員の処遇改善を主たる活動の目的とする限りにおいて、様々な社会活動(例えば、共済の運営、ボランティア活動の取りまとめ等)を実施しうるものです(労組法2条)。

そうだとすれば、プレカリアートユニオンと雇用関係にある者以外が加入したとして、何が問題になるのか不明です。清水氏らの見解に照らせば、会社の中で労働組合を組織すれば、会社から従業員を引き抜いて分裂させ、別の会社を立ち上げるための準備行為をしたことになるのでしょうか?

また、清水氏らは、当組合がプレカリアートユニオンと雇用関係にある者以外の加入を可としたことを、組織の分裂工作を意味する「分派活動」が目的であると決めつけていますが、確かに、一般的な企業における労働組合の組織や団体交渉がそうであるように、組合活動とは、使用者に対する何らかの批判的意思を伴うものです。

重要なのは、その批判の内容が不合理かつ社会的に許容されない私益私欲の実現にすぎないか、あるいは、労働者、使用者、ひいては顧客にも何らかの利益をもたらすような、社会的に歓迎される発展的なものであるかの相違ではないでしょうか。

当時、「プレカリアートユニオン組織内労組」であった当組合に、雇用関係にある者を中心とする組合員が結集し、団体交渉を通じてプレカリアートユニオンとの意見交換を行うために一定の規律によって組織されることが、直ちに、組織の分裂工作である「分派活動」であるという被害妄想につながるのは、清水直子氏自身が、結成当時のプレカリアートユニオンの代表者である大平氏とともに、フリーター全般労働組合で(本来の意味における)分派活動を実施してプレカリアートユニオンを結成した事実を当組合らに投影した結果であるとしか考えられません。

このように、清水直子氏自身の来歴の投影に基づく幻想である「分派活動」を巡って、現在までに10件近い訴訟等が提起され、数多くの関係者の生活の平穏が破壊され、物心ともに大きな被害を蒙ることになったことについて、当組合代表者としては、結成当初の初心を思うと、返す返すも遺憾でなりません。

なお、「LGBT/セクシュアルマイノリティ労働相談のブースで相談活動を妨害したことにより、再び権利停止の統制処分」については、同様の「処分」を受けたT組合員が、東京地方裁判所でプレカリアートユニオンに勝利和解しています。

当組合らがプレカリアートユニオンとの団体交渉を拒否した事実はないこと

清水氏らは、当組合が、1年以上もプレカリアートユニオンに対して団体交渉を申し入れていないと主張していますが、当組合は、令和元年8月17日、東京都労働委員会が清水直子氏を労組法上の使用者として被申立人に追加する決定をしたことを受けて、清水氏に団体交渉を申し入れています。しかし、清水氏は、これを拒否し続けています。

当事者の追加について(通知)/令和元年7月19日都労委発ダウンロード

団体交渉申入書/令和元年8月17日当組合発ダウンロード

他方、清水氏は、プレカリアートユニオンから申し入れのあった団体交渉について、「DMU及び前田氏は、言い訳をするばかりで、団体交渉に応じようとしません。」していますが、そのような事実はありません。

清水氏から6月12日付で送付された団体交渉申入書に対して、当組合は、次の内容証明郵便を送付し、団体交渉に応諾しています。清水氏からは、内容証明郵便の到達後も、日程調整の連絡がありません。

回答書兼警告書/令和2年6月20日当組合ら発ダウンロード

その他の論点について

上記以外の論点についても、後日、当組合の見解を公表する予定です。

具体的には、

  • 「生活保護と残業代不払いの関係について」
  • 「労基署がプレカリアートユニオンの労基法違反は認められないと説明した事実はないこと」
  • 「N氏による違法行為等についてプレカリアートユニオンに責任があること」
  • 「プレカリアートユニオンが労組法所定の会計報告をしていないこと」

についての説明を予定しています。

最後に、本件文書には、当組合が「プレカリアートユニオンの交渉先の会社にプレカリアートユニオンに関する誹謗中傷と、プレカリアートユニオンとの交渉に応じないよう求める書類を送りつけて」いるとして、当組合を、「労働組合でありながら悪徳経営者の側に立つ」と誹謗する記載がありますが、とんでもない言いがかりです。

当組合は、プレカリアートユニオンにおける総会決議の効力が不存在か少なくとも無効である以上、そのような状態で団体交渉を実施し、和解等に至ったとしても、法的効果としてはそのような和解等は無効であることから、総会決議の効力に関する紛争が解決するまでは、それらを留保するように通知しているだけです。

仮に、それが問題であるなら、当組合らが結成以来要求しているように、適法な臨時総会を開催するか、裁判所に仮理事又は特別代理人の選任を申し立てればよいのであり、なぜ、それができないのか不明です。

プレカリアートユニオンにおいて規約に定める代議員の選出手続を一切実施していないことは、東京地方裁判所の仮処分事件でプレカリアートユニオン(代理人・嶋﨑量弁護士)自身が認めた動かしがたい事実です。

https://twitter.com/dmugenerale/status/1278823515899265026

しかも、それら通知は、清水氏自身が「DMUの主張を受けた団体交渉拒否が行われることはなく……会社にとって有利な結果をもたらすことはありませんでした」と主張している以上、「悪徳経営者」に利益をもたらすものではありません。

つまり、当組合が悪徳経営者の味方をしているというのは、不当な誹謗中傷以外の何物でもありません。同一の文書の前後で正反対のことを主張する清水氏のリテラシーには、深い懸念を覚えます。

もっとも、プレカリアートユニオンにおける総会決議が無効であることは、労組法に定める民刑の免責を受けることができなくなる理由として十分なものであり、現実に、プレカリアートユニオンでは、株式会社引越社、株式会社にこコンサルティング、粟野興産株式会社、愛の旅株式会社を始めとする多数の企業から、毎年のように街宣活動等が違法であるとして損害賠償請求及び仮処分申請が提起されており、組合員個人も被告になっています。

このような場合、清水氏の指示に従っただけであることは言い訳にならず、現実に組合員個人に損害賠償責任が認められて差押えを受けること、ひいては刑事処分として逮捕、起訴となることも考えられます。例えば、上記のうち株式会社にこコンサルティングが申立てた仮処分申請では、プレカリアートユニオンは、著名な労働弁護士を代理人に立てたにも関わらず、敗訴しています。

しかも、このようなケースにおいて、プレカリアートユニオンの裁判費用を個人で負担して欲しいとして、清水氏から事件終了後に金銭を脅し取られた事例もあります。

労働紛争を抱える関係者の皆さまへ

労働紛争を抱える関係者の皆さまにおいては、プレカリアートユニオンに対して代表権の無い清水氏の発言を軽信せず、ご自身の良心と、ご自身と密接な信頼関係のある家族や友人等の助言等に照らして社会的に正しい行動を採ることが重要です。

組合活動と言えば全てが許されると洗脳され、信頼関係に基づいて成立している共同体を不当に破壊するような行動をしたり、人の人格や尊厳を過剰に傷つけ、それによって利益を図る行動をした場合は、そのような反社会的な行為がいつ露見するかも知れないと絶えず懸念することによって、あるいは、社会から孤立することによって、結局は金銭に換えることができない、他者からの承認や内心の平穏という貴重な価値を喪うことになり、深く後悔することになろうかと思います。

直面している労働問題を解決したい時は、プレカリアートユニオンが便利だからとして一時的に利用するのではなく、総会決議の効力等に紛争を抱えていない健全な労働組合に加入するか、法の精神に基づいてプロとしての仕事をする誠実な弁護士に依頼することをお勧めします。