令和2年都労委(不)第47号清光ライン事件 申立人第1主張書面

令和2年都労委(不)第47号清光ライン事件 申立人第1主張書面

都労委令和2年(不)第47号清光ライン事件 申立人第1主張書面
令和2年(不)第47号清光ライン事件
申立人 DMU総合研究所
被申立人 株式会社清光ライン
令和2年10月11日
東京都労働委員会 御中
申立人代表者執行委員長    宮 城 史 門

申立人第1主張書面

第1 被申立人と申立外プレカリアートユニオン及び申立人組合員M間での和解協定が無効であること

1 被申立人はプレカリアートユニオンにおいて代表者の資格がないことについて悪意であったこと

 今般,令和2年9月4日付答弁書において,被申立人は,プレカリアートユニオン(以下「申立外ユニオン」)から団体交渉申入書がきた後である令和元年6月頃に,(甲5が掲載された後の申立人のウェブサイトを見て)申立人に電話をかけた事実を自白した。
 かかる電話において,申立人代表者は,被申立人代表者に対して,プレカリアートユニオンにおいて総会決議は無効もしくは不存在であり,その旨を主張して労働委員会及び東京地方裁判所で係争中である旨を伝えているから,被申立人は,少なくとも令和元年6月頃から現在に至るまで,申立外ユニオンにおいて代表者の資格がないこと,少なくともその地位について紛争があることについて悪意であった。

2 労働組合における無権限での和解協定締結については表見代理法理の適用が及ばないこと

 労働組合において,代表者にその資格がない場合は,第三者との間で,当該無権代表者による意思表示の効力は無効となる。
 例えば,大阪白急タクシー事件(大阪地判昭和56年2月16日,労判360号,判タ450号,判時1006号,労経速1077号,労旬1020号)では,労働組合の代表者が無権限で締結した労働協約について,無権限であることにつき善意であった使用者による表見代理の法理援用の主張を排斥し,

「明文の準用規定もないのに,みだりに対等当事者間の私的取引の安全を保護することを目的にした表見代理の法理を労働協約締結の場面に持ち込んで来ること自体疑問がある」

とした上で,

「労働組合が組合代表者に労働協約締結の委任の議決をしていないのに,右議決ありと誤信した使用者を保護するため,表見代理の法理を援用して労働協約の締結権限を有しない組合代表者が締結した労働協約を有効であると解することは,余りにも組合員の利益保護に欠けるとの譏りを免れない。」

と判示した(甲8)。
 労働協約と同様,対等当事者間の私的取引とはいえない本件和解協定も,上記判示の射程が及ぶところである。

3 小括

 以上より,被申立人は,本件和解協定締結の日である令和2年4月11日において,訴外ユニオンの代表者にその資格が無いことについて悪意であった。
 もっとも,仮に,被申立人が訴外ユニオンの代表者の無権限について善意であったとしても,結論は変わらない。
 訴外ユニオンにおいては,組合員による直接無記名投票によって総会の代議員を選出し,その代議員が代表者(執行委員長)を含む役員を選任すべきところ(甲9),訴外ユニオンでは,平成30年9月8日の総会において組合員による代議員の直接無記名投票を実施していなかったので(甲10),代表者の選任決議は無効であった。
 その後の総会においても,無権限の代表者であった清水直子こと関口直子氏が,(当時無権限であったのに)一部の組合員を権利停止処分,除名処分等にしたとして,違法にその議決権を剥奪した状態でしか,直接無記名投票を実施していない。
 これにより,本件和解協定締結の時点においても,平成30年9月8日の総会において代議員の直接無記名投票をしていなかったことに基づく瑕疵が連鎖していたから,現在も訴外ユニオンにおいて代表者は無権限である。
 そうして,労働組合における無権限での和解協定締結については,対等当事者間の私的取引とは異なり,(被申立人に想定される主張である)表見代理の法理は適用されないから,被申立人が訴外ユニオンの代表者が無権限であることに善意であったとしても,本件和解協定は無効となる。

4 付言事項

 被申立人は,本件和解協定が有効であると主張するのであれば,訴外ユニオンにおいて,組合員による直接無記名投票を経ずして選任された代表者にも代表権があることについて,積極的に主張・立証すべきである。
 なお,申立人代表者及び組合員である申立外Tは,6月11日,訴外ユニオンを相手方として,総会決議不存在確認訴訟を提起した。申立人代表者らは,時期を見て,同訴訟を被申立人に訴訟告知する予定である。

第2 本件和解協定の存在は団交拒否の正当理由とはならないこと

 以上,本日新たに提出する書証により,本件和解協定が無効であることが一層明らかになったので,申立人は,本日,被申立人に対し,再度の団体交渉を申し入れる。
 被申立人としては,訴外ユニオンに支払った解決金40万円を一旦返してもらいながら,申立人との団体交渉に応じれば良いだけである。

以 上
清光ライン都労委(不)第47号清光ライン事件プレカリアートユニオン